シネマラウンジ

映画と女性と社会をつなぎます。フェミニズム、ジェンダーを視野に入れつつ、映画をとおして世界の女性の多様な生の現実にふれ、ともに語りあえるような交流の場をめざしています。新作映画評、エッセイ、対談・座談会、女性監督の言葉など、映画とさまざまに関わる女性たちの〈声〉をお届けします。

映画を語る

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『トム・オブ・フィンランド』 表現と存在の自由を求めたアーティスト  中村奈津子

2019.09.10 Tue

フィンランドのゲイ・エロティック・アーティスト(注1)、トム・オブ・フィンランド(本名:トウコ・ラークソネン、1920-1991)。黒のレザージャケットに身を包んだ、筋骨たくましい男性をエロティックに描いた作品が有名だ。彼の作品はゲイのイメージを塗り替え、フレディ・マーキュリーやアンディ・ウォーホル、写真家のロバート・メイプルソープ、マン

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ

『レディ・マエストロ』 いつか、それはあたりまえのシーンになる  中村奈津子

2019.08.23 Fri

1926年、ニューヨーク。オランダからの移民ウィリー(後のアントニア・ブリコ。クリスタン・デ・ブラーン)は、指揮者になる夢をあたためていた。まだ、音楽の世界もきわめて男社会で、オーケストラの指揮者をつとめる女性は一人もいなかった時代のことだ。コンサートホールでアルバイトをしていたある日、彼女は、あこがれの指揮者メンゲルベルクがタクトを振る

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る

『ハッパGOGO! 大統領極秘指令』 この物語は、フィクションです  中村奈津子

2019.08.11 Sun

ウルグアイは、人口およそ350万人。ブラジルの南、アルゼンチンとのあいだに位置する、南米大陸では2番目に面積が小さい国だ。 この国の前大統領ホセ・ムヒカ氏は、その質素な暮らしぶりから「世界一貧しい大統領」とよばれ、今も「ペペ・ムヒカ」という愛称で人々に愛されている。2012年の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」でのスピーチで一躍有

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 「知」と「公共性」をはぐくむ装置  中村奈津子

2019.08.04 Sun

ニューヨーク・マンハッタンの、ほぼ中央を縦断する5番街。有名なエンパイア・ステート・ビルや、ロックフェラー・センター、メトロポリタン美術館などが並ぶその通りにあるニューヨーク公共図書館本館は、荘厳なボザール様式の建物で、図書館利用者のみならず、観光客もひっきりなしに訪れる観光スポットでもある。1911年の建設から100年以上が過ぎた今なお

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ

ドキュメンタリー映画『この星は、私の星じゃない』   永野眞理

2019.07.25 Thu

 「これまで知らなかった美津さんに、出会えた」…観終わって出たのは、この言葉だった。  1970年10月21日は、記念すべきリブの誕生日。そしてこの映画のヒロイン、田中美津さんは「リブの旗手」と言われている。「ありのままの女」として自分を肯定することを目指したリブ。美津さんは1970年に「便所からの解放」という文章を発表してウーマンリブ

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ

『メモリーズ・オブ・サマー』 強い夏の陽射しの痛みに似た記憶  中村奈津子

2019.07.18 Thu

1970年代末のポーランド。自然の美しい田舎町に住む12歳の少年ピョトレック(マックス・ヤスチシェンプスキ)は、平穏な夏休みをおくっていた。母親のヴィシャ(ウルシュラ・グラボフスカ)とのふたり暮らしで、父親のイェジ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ)は出稼ぎのため家にいない。ピョトレックは、母と一緒に自転車で出かけて池で泳いだり、家でチェス

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る