9月2日〜5日、国内唯一の国際女性映画祭「あいち国際女性映画祭2021」が開催された。
 主会場は愛知県女性総合センター(ウィルあいち)、サテライト会場はミッドランドスクエア シネマ。
 今回26回目で、日本初公開4作品、愛知初公開7作品をを含む、全29作品が上映された。作品の一部を紹介する。

『ビクティム(たち)』 (C)LOMO PICTURES

『ビクティム(たち)』マレーシア/2020年
クアラルンプールで高校生が襲撃される事件が起きる。加害者とその母親は非難を受け、被害者の母親は同情される。しかし、事件の隠された事実を知った時·····。
 上映後、レイラ·ジューチン·ジー監督のオンライントークが行われた。レイラ監督はアメリカ留学をして映画の勉強をした。今回の作品は中国で撮影予定だったが、できなくなり、その後マレーシアで撮影することができた。マレーシアは多民族国家で、スタッフキャストもマレーシア人、中国人、韓国人などである。グローバルな映画を作りたかったので結果良かった。この作品は海外の映画祭などで上映されているが、マレーシアは現在ロックダウン中なので、まだ上映されていないとのこと。

姉姉妹妹 Truong Binh Tuong / Muse Films

『姉姉妹妹』ベトナム/2019年
夫と裕福に暮らすキムは、ラジオ番組でパーソナリティを務めている。
ある日、毎日電話をかけてくる妊婦、ニーの暴力的状況を救うため、自宅に迎える。
その事からキム家族に変化が起こる。

『TiTi』PHOTOGRAPHY COPYRIGHT: (c) All right reserved

『ティティ』イラン/2020年
 物理学者エブラヒムは入院している病院で清掃員ティティと出会う。彼女は自分の家を持つ夢があり、婚約者の勧めで代理母を引き受けている。ティティはロマ(ジプシー)の女性で、純粋無垢で、しかも自立している。
 上映後は、映画プロデューサーのショーレ・ゴルパリアンさんが、イランの女性監督が描く詩的な愛の表現を語られた。イラン映画は海外で評価が高いが、女性監督はまだ少ない。アイダ・パナハンデ監督はテヘラン芸術大学で映画監督の修士号を取得。現代社会における女性の地位をテーマとしている。

 『荒野に希望の灯をともす〜医師・中村哲 現地活動35年の軌跡〜』日本/2021年
 アフガニスタンやパキスタンで、医療支援や用水路建設等の活動を続けた中村哲医師の活動記録。
 上映後は、1990年より中村哲医師のもとで現地活動に長年従事し、現在、現地NGO、PMS(ピース・ジャパン・メディカル・サービス)との橋渡し役を果たす藤田千代子さんをゲストに迎え、中村哲医師およびペシャワール会の活動など国際協力についてのシンポジウムが行われた。中村医師と共に活動した藤田さんのリアルな話は興味深かった。

 『すばらしき世界』日本/2021年
 人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯の三上。更生の様子をネタにしようとするテレビマンが近づいてきた。上映後、西川美和監督と三上役の役所広司さんをゲストにオンライントークが行われた。


 フィルム・コンペティションは、12作品が上映された。今回より、審査委員長に愛知県出身の俳優・監督の奥田瑛二さんが委嘱された。
【グランプリ】
アニメーション部門『O-BON,Anecdotes from Kyoto』(スイス)監督:ジェナイ・フォーゲル
実写部門『Interpreting Hyun-ju』(韓国)監督:カン・ジヒョ。
【観客賞】 アニメーション部門『Where Were You?』(スペイン)監督:マリア・トレノール
実写部門『ふたり〜あなたという光〜』(日本)監督:佐藤陽子。

あいち国際女性映画祭ホームページ        https://www.aiwff.com