お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談No.4「不安とうまくつきあいたいのですが・・・」

2010.10.28 Thu

50才の女性です。私は子どものことで心配にかられ、時々、大変に不安になります。といいますのも子どもは今は働いてはいるのですが、大学生のときに軽度の発達障害があることが分かり,それでいつか仕事がうまくいかなくなるのではないかと思うからからです。
この相談室の相談no.1の将来を考えると不安というご相談への回答を見て、「なるほど、子どものことで不安と思っているけれども、結局は不安とつきあう自分の問題なのだ」ということがよく分かりました。
「子どもは自分のできるところまでやればいい。万一、うまくいかなかった時にまた助けてやればいいんだから」と思い直し、そう思うとそのときは随分、元気になれます。でも、時々、また不安がやってくるのです。
それは子どもが大学に入るまでにも色々と問題があり、これまでに何度も「これでうまくいくのでは」と思ったらまたダメだったという失敗を繰り返してきたからではないかと思います。またダメなんじゃないかと思うと身体が緊張してカチカチになっているようで、それで一層、不安になってしまいます。
以前は、不安になると子どもに色々、注意をしていたのだと思います。それを自覚していたわけではないのですが、子どもの人生なのだから親があれこれ言うのはやめた方がよいと思うようになって、そうしないようにしています。でも、不安になることに変わりはなく、それで身体が緊張してくるとちょっと息苦しくなります。
本当に不安とつきあうのは、骨が折れますね。不安との上手なつきあい方はないものでしょうか。自分の緊張が高まってきたとき、その緊張を和らげる方法があれば、ぜひ教えて下さい。(京都、雅子)

回答

No.4 回答

あなたのおっしゃること、本当にほんとう。不安と付き合うのは困難をきわめますね。 特に、軽い発達障害をもつ子どもさんのことになれば、余計でしょう。お気持ちをお察しいたします。
ただね、正直に申せば、不安とどう付き合うかについて私に妙案があるわけでもありません。もうちょっと言えば不安自体をどうできるかにはおそらく答えはないように思います。で、不安をどう逸らしながら(これが付き合うと言えばそうなりますが)やれるかを考えてみましょうか。実は答えはあなたのお書きになったなかにあります。
そうです、心配したり(不安)、ちょっと安心したり、子どもさんを信じてやろうかと思ったり(安定)、というところ。子どもさんが、いまは、安定しておられるのですね。前にもうまくいったこともありましたよね。
だったら、とりあえず今はそれを受け入れて楽しまれてはいかが?またダメになるのではないか、と不安を先取りすることを予期不安を持つと言います。これがご自分の傾向だと理解されれば、「またやってるわ」と自分を眺めることもできるでしょう。これがまず第一。
それと分節思考ってご存知ですか? 分節、つまり細かくして考えてみることの意です。一般的に我々は、傾向を大きく定義しがちです。たとえば劣等感でいっぱい、といえば、そのレッテルだけを自分にも他人にも貼ってしまいがちです。
細かく考えれば決してそういうのでもないはずですよね。不安感には、たえずそれだけでなく、安定感もあったはずです。繰り返しになりますが、それがあなたの相談内容に書かれていました。
換言すれば、不安感ばかりだと不安でもないでしょう?つまり不安感があってこそ安定感もうまれるというようなことです。赤色は、赤ばかりでは赤にならず、白だの黒だのの別色がいりますよね。で、人生を一色で考えないようにできると、いいのかなと思います。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。