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「パンケーキ狂」という名の研究魂 『パンケーキ・ノート』 トミヤマユキコ

2013.04.17 Wed

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.パンケーキ?ホットケーキをかっこよく言ってるんでしょ?と思ったら大間違い。味わいのある美しい装丁の本書をパラパラとめくると、目を疑うほど様々ないでたちのパンケーキたちが目に飛び込んできます。「パンケーキってこんなに色々あったんだ…」と、誰もが改めて驚くでしょう。かくいう私も、著者に勧められた何軒かのお店を訪れ、「こんなパンケーキが!?」と驚くことも。

そんな不思議な奥行きを持つのはパンケーキだけではなく、本書も同じ。一見、パンケーキ狂と自認する女子による食べ歩き本、しかし後半には「ミックス粉編」「ブックレビュー編」「Q&A」。「ミックス粉編」では、おうちでおいしくパンケーキを食べるためミックス粉各種を、冷凍ホットケーキまで含めて詳細にレビュー(粉にそんなに違いがあるなんて、知っていましたか!?)。「ブックレビュー編」ではパンケーキが様々な文学作品や絵本に登場し、わたしたちの心の中でひっそりと「おいしいもの」イメージの礎となっていることをあらわにし、「Q&A」では絶妙なライン(実用一辺倒でもなくマニア、またはメルヘンでもない)質問をとりあげてアンサー。極めつけは末尾の「タグのまとめ」というページ。紹介したお店を特徴に沿ってタグ付けし、一目で目的や好みにかなった店がわかるようにグラフにされているのです。これを見たとき私はトミヤマさんの「研究者魂」に打ち抜かれました。ばかだなあ、と愛をもって思うと同時に(褒め言葉です!)、これぞ研究対象への愛、右から左から上から下から、研究対象に迫っていくその姿勢こそ研究者の姿勢ではないか、と大いに感銘を受けたのでした。そしてどんなに迫っても手が届かない何かにひかれて、多くの研究が続けられるように、おそらく彼女のパンケーキの旅も続くのでしょう。

うちぬかれた衝撃を忘れることはないけれど、実は私が一番好きなのは、店名すら読まずにパラパラとページをめくり、パンケーキの写真が醸し出す世界にうっとりしたり、理想的な生地の色合いに目を凝らしたりして楽しむこと。おなかがすいたら、棚の中にはホットケーキミックス。こどもを誘って、「しろくまちゃん」気分でホットケーキを焼きに行きます。(「しろくまちゃん」がわからない方は、本書ブックレビュー編をチェック!)(小林あ杏)

トミヤマユキコさんのエッセイはこちらにも!⇒「わたしにはパンケーキが必要なんだ」http://wan.or.jp/reading/?p=8505(晩ごはん、なあに?23)








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