
介助の仕事がめちゃくちゃ大切な理由
障害を持つ人と共に生きる社会が大切だとよく言われる。多様性も必要だ、となんとなくではあれ、みんな思っているだろう。しかし、それを実現するための方策がなかなか社会には見当たらないできた。それどころか政治は画一化と同調圧力を求め、1978年には養護学校義務化の法律を通したし、難民や移民の政策も頑なで差別的だ。そんな中、私は駅の階段を諦めることなく使い続けエレベーター設置に努めてきた。また1994年のエジプト・カイロでの旧優生保護法に対する発言によって、障害を持つ人たちのリプロダクティブ・ライツの確立を進めてきた。そして互いにケアし合うことで、戦争をなくすためのシステムを激しく模索し、そのプロセス等を描いたものが本書である。
私の父は中国で加害者、シベリアで被害者であった。母は東北の、今では原発事故ですっかり有名になった福島に小作農の次女として生まれ、戦中・戦後を貧しさの中で生き延びた。二人の壮絶な人生を幼い時から聞きながら、平和をつくるにはどうしたらいいかを考え続けた。そして20歳の頃から障害者運動と共に歩み、この本の主題である介助制度―特に重度訪問介護―を求め続けてきた。
誰でもが、いつでも、さまざまな体に変化し得る。そうした中にあって生きていくためには、障害を持つ人にとっては介助者という存在が、介助者にとっても障害を持つ人の存在が、老いゆく身体のロールモデルとして必要なのだ。福祉は平和の具現化であり、平和は福祉によって実践される。
この本は多様な視点を持って、介助という仕事を見つめている。社会的な平和、そして個人の内なる平和をつくるために介助という仕事がどんなに力を持っているかを紹介した。多くの人に手に取ってもらい、戦争を止め、人々の笑い声あふれる世界をつくりだしていきたい。
◆書誌データ
書名 :このからだが平和をつくる
著者 :安積遊歩
頁数 :192頁
刊行日:2022/12/15
出版社:大月書店
定価 :1760円(税込)
慰安婦
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