東日本大震災10年を越えて~被災した女性たちのフォトボイス(写真と声)が提示するもの。それを具現化したものとして『東日本大震災10+(プラス)年 フォトボイス・プロジェクトの軌跡』を制作。

□事業目的:東日本大震災から11年となり、フォトボイス(写真と声)の活動を通して蓄積してきた被災した女性たちの経験や知見をまとめる。それをブックレットとして刊行し、それを用いた防災ワークショップを実施することを通して、今後の災害対応や防災、復興、風化防止に活かす。

□報告:東日本大震災10余年の活動のまとめを制作。
2022年は、東日本大震災11年目の年でした。フォトボイス・プロジェクトは、被災した女性たちと共に歩んだフォトボイス(写真と声)の活動10余年にあたり、その活動をまとめたブックレットを制作、刊行しました。印刷費はWAN基金の助成を受けました。コンパクトにまとめることが可能になり感謝です。

□フォトボイス(PhotoVoice)とは
1990年代初めにアメリカで開発された手法です。写真だけでは表現しきれないこと、言葉だけでは表現しにくいことを、写真と言葉(「声」)を一体のものとして表現します。海外では社会的に弱い立場の人々の実情や問題解決を目指すために用いられている参加型の方法です。

□フォトボイス活動の基盤としてのグループ活動と社会的発信。
当プロジェクトでは、被災した女性たちが、震災後の生活や心情、地域や社会の課題(オリンピックや除染、復興など)などを撮った写真を小グループに持ち寄り、写真を観ながら語り合います。このグループは、宮古市(岩手県)、仙台市・石巻市・女川(おながわ)町、郡山市・福島市(福島県)、東京に避難した女性たちのグループと計7グループです。グループでは、共感や相互理解、相互援助が起こり、グリーフケア役割もあります。
パネルにした写真と声の展示や、グループのメンバー(撮影者)が自分の写真と声を用いながら、被災経験や防災・復興の課題を提起するトーク・イベントも開催しています。各地域のグループの活動(写真を撮り、写真を観ながら語り合う)は、これらの基盤となるものです。
近年では大学等で出張講座も行っています。被災した女性たちが自らの写真と声を紹介しながら、被災経験を語り、防災・復興の課題を伝えることは、東日本大震災の記憶が薄い若い世代の人たちにも大きなインパクトを与えています。

□ブックレットの内容
第1部 フォトボイスとジェンダー平等
近年、なぜ女性グループなのかという質問を、助成元から受ける経験が複数回ありました。災害・復興時に女性がより困難な状況に置かれるという認識は、防災関係者の間ではほぼ広まってきてはいます。しかし、一般には、高齢者・子ども・障がいのある方たちが災害・復興時に困難な立場であることは理解しやすいのですが、女性については、浸透しているとは言えないのではないかと気が付いたことが、第1部の内容になっています。(そういえば助成元の責任者ないし重要事項担当者が、女性だという助成元は知っている限りあまりありません。助成を決定する審査委員が男女半々という団体も極めて少ない)
内容は、なぜ女性のグループなのか、フォトボイスとは、フォトボイス・プロジェクトの主な活動です。
第2部 写真と声を通してみたさまざまな対応と複雑な影響
これまでの蓄積された600余の写真と声の中から、重要と思われるテーマを抽出、解説し、それを端的に示す写真と声を掲載しました。例:避難所の生活 仮設住宅のくらし さまざまな喪失 津波対策 福島にくらす 除染と帰還政策 復興とは 次々に起きる災害などです。
第3部 グループメンバーにとってのフォトボイス
グループメンバーがアンケートや電話インタビュー、グループインタビューなどの回答を基に、フォトボイス活動に対して、何をどのように感じ、考え、参加したのかを考察しています。 https://bit.ly/3i7j01y
今後のワークショップなどのトーク・イベントなどでも役にたち、問題提起もできる素材となるコンパクトなまとめとなりました。
※ B5版 54ページ オールカラー 頒価600円(送料別)
※ 注文は右メールアドレスへ photovoicejapan@gmail.com

ホームページ http://photovoice.jp/
フェイスブック https://facebook.com/PhotoVoiceProjectJapan
NWEC災害復興支援女性アーカイブ
http://w-archive.nwec.jp/il/meta_pub/G0000337wd
NPO法人フォトボイス・プロジェクトを☑検索をお願します。