『加納実紀代資料室 サゴリ』をオープン(仮)しました。
●資料室の所在地は広島駅北口になります。詳細はリーフレット、ホームページをご覧ください。
●加納実紀代資料室サゴリ ホームページのアドレスは
https://sagori-kanomikiyo-library.jimdofree.com/
女性史研究者・加納実紀代さん(1940~2019、WANミニコミ図書館メンバー)は2019年2月22日に逝去しました。その1年後2020年に広島に加納さんのほぼ全蔵書・資料がやってくることになり、その3年後の今年2023年3月桜の咲く春に〈加納実紀代資料室 サゴリ〉として仮オープンいたしました。全資料のデータ化がいまだ進行中であることから「仮」としていますが、約1万冊の本・雑誌、約1000点のA4ファイルは、それぞれの場所を確保し、加納さんの仕事の全容に出会うための空間となっています。
加納さんを中心とした「女たちの現在(いま)を問う会」(1977~1996))は、戦時下の資料読み込みと聞き取りを丹念に積み重ねながら『銃後史ノート』10巻(1977~85)を刊行したことで知られています。「母たちは確かに戦争の被害者であった。しかし同時に侵略戦争を支える“銃後”の女たちでもあった。―何故そうでしかあり得なかったのか」を問うことから始まりましたが、それは自分たち自身の“現在”を問うことに重なることを見据えていました。そして『銃後史ノート戦後篇』(1985~1995)に続いていきます。
一貫して加納さんの仕事を支えていたものは、“「現在を問う」からこそ「歴史を問う」”という研究姿勢です。その姿勢は女性史を交差させながら、「天皇制」「ウーマン・リブ/フェミニズム」へ、被爆当事者であることから「核とフェミニズム」「ヒロシマとフクシマ」「<平和>表象」へとひらいていき、研究のみにとどまらず、多種多様な雑誌への執筆、全国各地での講演活動、地域女性史グループとの協働にも力を入れていました。
「女の加害と被害の二重性」「広島の加害と被害の二重性」という加納さんの視点は、「他者、あるいは他国の人々を踏みつけにしない私たちの解放をさぐるため」(『銃後史ノート』刊行にあたって)に不可欠な視点となっています。そうした加納さんの意思を受け継ぐ場所として「加納実紀代資料室サゴリ(韓国語で交差点)」と名づけました。まさしく―《現在》を問い、《歴史》から学び直す場所として、資料、人、出来事、歴史が交差する場所として。
WAN関係者の皆様、広島においでの節は是非お立ち寄りください。心よりお待ちしております。(詳細はHP、リーフレットをご覧ください)
●ホームページアドレス
https://sagori-kanomikiyo-library.jimdofree.com/
加納実紀代資料室サゴリ
ひろしま女性学研究所
主宰:高雄きくえ
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投稿◆池川玲子(敬和学園大学・戦争とジェンダー表象研究会、本書の解説を執筆)
https://wan.or.jp/article/show/10697