
アートとフェミニズムをみんなのものに
「アートとフェミニズムは誰のもの?」という問いには、ベル・フックスが「フェミニズムはみんなのもの」と言ったように、「みんなのもの!」ともちろん答えたい。けれども、実際、現状、残念ながら、アートもフェミニズムもみんなのものにはなっていません。
そこで、本書では、「アートってよくわからないな」と思っている人がフェミニズムをツールとして使い鑑賞をより楽しめるようにすること、「フェミニズムもよくわからないな」と思っている人がアートを通じてフェミニズム的読み解きの視点を獲得すること、つまり、アートとフェミニズムをみんなのものにすることを目指しました。
ジャクソン・ポロックとリー・クラズナー、マネ、マグリット、ゴーギャン、イヴ・クライン、サイモン・フジワラ、長島有里枝、レイチェル・ホワイトリード、アナ・メンディエタ…その他多数のアーティストの作品を図版とともに紹介し、読み解きます。
アートとフェミニズムという組み合わせは人によっては唐突に感じられるかもしれません。これは、どちらもみんなのものになろうとするエネルギーを持っているという点で共通しています。これは「権威主義への抵抗の意思」であり、「差別への反省を積み重ねてきた歴史」でもあります。
でも、日本では2019年のあいちトリエンナーレ内の「表現の不自由展・その後」に対する一般市民からの脅迫をきっかけに作品が見せられなくなって以降は特に、抵抗の意思を示すアート作品が見せられないということもしばしば起こっています。また、フェミニズムの名の下にトランスジェンダー女性に対して差別的な言説が巻き起こり、人の命を危険にさらしています。いずれも、「みんなのもの」になるどころか存続の危機と言ってもいい状況です。
誤解していたり無知であったりする人たちに対して、われわれだけが本当のことをわかっている、わからないやつは黙っていろ、そして、わかっている「界隈」で手を取り合っていけばよい……と無反省に開き直っている状態では、アートもフェミニズムも存続し得ないのです。アートとフェミニズムをだめにしないためには、これを「みんなのもの」にしてこなかったことを問題とし、「みんなのもの」にする必要があります。だからこそ、アートとフェミニズムは誰のものなのか、問い続けていくことの必要性をこのタイトルに込めています。
◎ 「はじめに」より
アートとフェミニズムは少なくない人びとから、よく見えていないのです。
「よく見えていない」とは、見ていて良い気がしない、というのもありますが、
どちらかと言うと、そこにあることはわかっているのだけど、見通しが悪くてその実態がよく見えないということです。いわば、アートとフェミニズムは、(中略)入門したくてもしにくい「みんなのものではないもの」なのです。
◎ 目次
第1章 アートがわからない
第2章 フェミニズムもわからない
第3章 アートをフェミニズムで読み解く
第4章 フェミニズムをアートで実践する
終 章 アートとフェミニズムをみんなのものに
◆書誌データ
書名 :アートとフェミニズムは誰のもの?
著者 :村上由鶴
頁数 :272頁
刊行日:2023/8/18
出版社:光文社・新書
定価 :1078円(税込)
慰安婦
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