わたしたちの仲間で近現代日本女性史・ジェンダー史の研究者のおひとり、平井和子さんが2024年度 第39回「女性史青山なを賞」を受賞されました。
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平井さんは長く非常勤講師やジュニアフェロー・客員研究員を務めてこられましたが、専任教員のポストをお持ちでなかったため、他の大学教員のような最終講義の機会をお持ちではありません。
2024年12月11日の受賞記念講演が、平井さんの研究人生における「最終講義」に当たると考え、WAN最終講義アーカイブへの収録をお願いしました。戦争と性暴力という光のあたりにくい分野に一貫して取り組んでこられた、平井さんの研究人生をふりかえる貴重な映像記録です。
WAN理事長 上野千鶴子

●平井和子さんプロフィール
1955年、広島市生まれ
1974年、立命館大学文学部卒業
1997年、静岡大学大学院教育学修士課程修了
2014年、一橋大学大学院社会学博士課程修了、博士(社会学)
静岡県東部の中学校の社会科教師を経て静岡大学、静岡県立大学、大妻女子大学等で非常勤講師。一橋大学ジュニア・フェロー、非常勤講師を経て、同大学ジェンダー社会科学研究センター客員研究員。

主な著書
『西伊豆 土肥の女たち―聞き書きによる掘り起し』1985,長倉書店
『「ヒロシマ以後」の広島に生まれて―女性史・ジェンダー・ときどき犬』2007,ひろしま女性学研究所
『日本占領とジェンダー―米軍・売買春と日本女性たち』2014,有志舎(山川菊栄賞受賞)
上野千鶴子・蘭信三・平井和子編著『戦争と性暴力の比較史へ向けて』2018,岩波書店
恵泉女学園大学平和文化研究所編『占領と性―政策・実態・表象』2007,インパクト出版会

主な論文:
「米軍基地と売買春―御殿場の場合」1997,『女性学』Vol.5
「日本占領を性で見直す」2004,『日本史研究』第500号
「米軍と地域/性―占領期の東富士演習場の事例を中心に」2004,『戦争責任研究』第45号
「わたしにとってのヒロシマ―〈継承と見直し〉のために」2008,『戦争と性』第27号
「婦人保護台帳に見る売春女性たちの姿」2009,『総合女性史研究』第26号
「広島湾軍事三角地帯―軍港呉の占領期を中心に」2010,『アジア現代女性史』第6号
「語れない女性たちの占領体験を歴史化する試み―歴史学・女性史・オーラル・ヒストリーのはざまで」2012,『日本オーラル・ヒストリー研究』第8号
「石油コンビナート反対運動のなかの女性たち」2013,『戦後日本住民運動資料集成8 三島・沼津・清水町石油コンビナート反対運動資料別冊』(すいれん舎)
「日本占領をジェンダー視点で問い直す―日米合作の性政策と女性の分断」,2014『ジェンダー史学』第10号
「敗戦・占領を生き延びる地域と女性たちのエイジェンシー」2014,『人民の歴史学』第205号
「隠蔽される過去―明治とジェンダー」2018,『創られた明治/創られる明治』(岩波書店)

担当:WAN女性学講座 最終講義アーカイブ担当