2012.09.01 Sat
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.わたしの研究テーマは家族とか家なのだが、今BLでどれがお勧めかといわれたら、それとは関係なくても、この日高ショーコさんの『憂鬱な朝』を挙げると思う。ストーリーといい、絵といい、文句のつけようがない。歴史ものなので、どちらも本当に華麗。不満があるとしたら、もう少しで連載が終わってしまうことくらいだ。
一夫一婦制を頑なに守ろうとする「西洋かぶれ」の親が年取ってから生まれた主人公。しかし親はすでに遠縁から養子を採っていて、子どもが生まれたことによってその子は後継ぎの座から転落する。そして両親が没した後、養子は家令となり子どもの教育係となっていく。主人公は美しい家令に惹かれていき、愛の証として当主の座を明け渡そうとする。またこの家令にも実は出生の秘密があり…というストーリーである。
家を経営することの重さや華族制度の馬鹿馬鹿しさ、新しい階級の興隆とロマンティックラブイデオロギー、などなどが交錯して、いろいろ考えさせられる。日本の近代化の過程で、最初は清朝を模範とした家族制度(新律綱領)によって妾が二親等となるも、その後改正されたことなどは知っていたが、「畜妾届」の存在は知らなかった。結婚が公的な「政治(まつりごと)」であることから私事へと転換するその隙間を縫う話かもしれないが…。いずれにせよ、戦前の華族にとっては結婚が完全な私事ではあり得ないだろう。謎解きのようなストーリー展開も面白い。
まぁ何はさておき、読んでいただくのが一番である。よければ感想を教えてください。B-WANのツイッター@b_bwanでも受付中です(sen)
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