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NPO法人参画プラネット☆ブックトーク『定年、そして10万時間』

2012.12.18 Tue

12月の市民交流事業は、『定年、そして10万時間』を執筆された上鵜瀬孝志さんと、俳優の早川けいさんをお迎えし、「どうする? どうなる? 定年後!」と題した、ブックトークを行いました。上鵜瀬さんはコピーライター。13年前に市民活動グループ「ウイ!エルダーマン」を起ち上げ、団塊世代の男性を中心としたメンバーとともにセミナーなどを開催されています。今年3月「男たちの文化祭」においてもお二人にはパネリストを務めていただきました。今回は、早川さんに上鵜瀬さんの著書から朗読をしていただいて、10万時間をいかに生きるかを一緒に考えました。

上鵜瀬さんが「ウイ!エルダーマン」をスタートさせたのは、50歳の時。きっかけとなったのは、神戸在住の元同僚の言葉です。阪神大震災で仕事を失い、名古屋に戻ってきた彼から「将来はどうなるかわからないと思っていた方がいい」と聞かされます。そこで、「男性」をテーマに仲間のネットワーク作りのためのグループを開始しました。現在では、メンバーの様々な経歴や興味を活かして、海外の子ども支援や演劇などの活動が広がっています。

「10万時間」って何だろう?と思っていたら、最初にその解説から、お話がスタートしました。定年の60歳から男性の平均寿命の79.6歳までには19年あります。1日のうち、睡眠など必要な時間を除いた残りの時間、つまり自由になる時間が14.5時間とすると、×365日×19年で、約10万時間です。平均寿命が男性より長い女性は、さらに5万時間プラスの15万時間です。定年後の自由時間は、大まかにいうと人生の3分の一にあたるそうで、ことのほか長いことを実感しました。

本の出版にまつわることなど興味深い話が続いて、思わずくすっと笑ったり、ふっと自分の将来を想像したり。後半は、早川さんの朗読とともに、お話が進みます。
10万時間を充実させるたくさんのヒントのうち、重要なポイントをまとめると、第一に「健康」ですね。健康でなくては楽しく過ごせません。団塊の世代は人数が多いので、将来、病気になっても病院のベッドが足らず、入院治療が受けられないかも…と聞くとこれは大変。今のうちから、体力作りと日頃の自分のケアが欠かせませんね。

次に「ライフプランを準備すること」。定年後の生活をなるべく具体的に計画して、趣味や生きがい作り、家計の見直し、介護のあり方などイメージし、できることは今からスタートしておくのが役立ちそうです。簡単な料理作りや家事一般、身の回りのことがとりあえずでもできれば、家族に感謝され、“おひとりさま”も怖くないでしょう。転ばぬ先の杖ですね。

最後に重要なポイントは、「パートナーや友人関係とのコミュニケーション」でしょう。男性にとっては、これが一番の要なのかなと感じました。会社勤めで身につけた価値観、なかでも相手と競争モードになってしまうことから意識的に抜け出せば、気楽な仲間作りにつながりそうです。
上鵜瀬さんは、人との関係性を作るためには「“ありがとう”が言えることが大事」と話されました。また、「“ごめんなさい”が言えれば、関係性がリセットされて、また新しく始めていくことができる」とも。この2つは、関係作りに欠かせない言葉なのですね。

早川さんの伸びやかなお声を聴いていると、実際にその状況に自分が立たされているようでした。男性の参加者の方には、より身に迫るようで実感しやすかったのではないでしょうか。
男性の定年後に関わる、たくさんのデータを読み解いての内容でしたので、女性の私にも納得がいきやすく参考になること多々あり、でした。

参加いただいたのは男性が8割くらい、50代を中心に、なかには30代の若い世代のカップルの方も。アンケートの回収率がすばらしく、皆さんの関心の高さがうかがえました。
来年3月9日、10日には、お二人に担当していただいて、男性限定の定年後の充実した生活への準備講座「男(わたし)の居場所見つけ塾」も開催されますので、ぜひご参加をお待ちしております。

 (塚田 恵)

◆そうか!「新しい友、新友をつくろう!」
ブックトーク『定年、そして10万時間』

カテゴリー:参画プラネット

タグ:高齢社会 / 労働 / 老後 / 塚田恵