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回答:打越さく良弁護士

2015.10.04 Sun

 

困りましたね。お父さんもその年ごろの自分を思い出せば、父親との時間をとるなど面倒になってくることなどわかると思うのですが。お子さんと会ってもいるのだし、お子さんから部活の様子などもきいているなら、忙しいことなどわかるような気もするのですが…。同居している親と子どもの関係だって、子どもが成長するにつれて、そう頻繁に長時間過ごすようなことはなくなっていくなど、変化するものですよね。

部活の忙しさも伝えて、無理のない方法、頻度にしていくように話し合いができるといいですが、いかがでしょうか。野球の大会への参加などを勧めるなどすれば、お子さんの生活状況の変化もわかっていただけるのでは。

こんな提案は楽観的でしょうか。

 

なかなか話し合いが難しいならば、調停を申し立ててはいかがでしょう(家事事件手続法39条別表第二・3、244条)。

そもそも取決めは口頭でしょうか、当事者間で作成した文書でしょうか。あるいは調停や審判でしょうか。

調停や審判で定まった面会交流について不履行がある場合、こちらから条項の変更を求めて調停を申し立てるなど対処しないと、間接強制されてしまいかねません。間接強制とは、決められた義務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを決定することで、義務者に心理的圧迫を与え、義務を履行するよう促すものです。

①面会交流の日時または頻度、②各回の面会交流時間の長さ、③子の引渡し等の方法が具体的に定められていることにより、面会交流について何を義務者がすべきか特定している場合には、面会交流についても間接強制が認められるとの判断が示されています(最高裁平成25328日決定・民集673864頁)。

なお、この最高裁平成25年決定は、間接強制の可否の判断に先立ち「子の利益が最も優先して考慮されるべきであり、面会交流は、柔軟に対応することができる条項に基づき、監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましい」と述べています。従来から、面会交流についてはがちがちに特定するよりも、当事者が協議する事項も残し柔軟性を残したほうが、子どもの成長にあわせて調整できるなど、無理がないといわれており、この点今後も変わらないでしょう。

ともあれ、お2人の間の面会交流の取決めが調停や審判のかたちで、①~③につき特定しているのであればなおさら、間接強制金を課されては大変です。できるだけ早く条項の変更を求めて調停を申立てましょう。

特定された条項での取決めではない場合でも、「だから安心」と放置していては、お父さんだってむっとすることでしょう。ひょっとしたら、損害賠償を請求されかねません(面会交流の不履行により損害賠償請求が認められた事例もいくつかあります。静岡地浜松支判平成11年12月21日判時1713号92頁)。やはり、できるだけ早く調停を申し立てることをおすすめします。

なお、おカネまで請求されたら、「何さ。結局会うよりおカネ目当て?」などとむっとするものです。間接強制や損害賠償などにいたっては、当事者間の信頼関係はズタズタ。楽しい面会交流の実施にはどんどん程遠くなってしまいかねません。そんな段階に達しないうちに、なんとか解決したい、と監護親側、非監護親側のどちらの代理人を務める弁護士としてつねに心がけています。

カテゴリー:回答 / 打越さく良弁護士

タグ:くらし・生活 / 離婚 / 法律相談 / 打越さく良 / 面会交流 / no33 / 父親 / 本人が会いたくない場合