エッセイ

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必要な情報をエンディングノートにまとめておこう【大切なモノを守るには】

2014.03.03 Mon

4 生前に関わる契約と死後に関わる手続き【大切なモノを守るにはNo.4-2(17)】

このシリーズは、事実婚・非婚・おひとりさま・セクシャルマイノリティといった方々に対し、「法律婚夫婦+子」を基本概念として作られている現状の各種法制度の中から、活用できる制度がないかを提案していくものです。


■テーマ・その4:生前に関わる契約と死後に関わる手続き

第17回 必要な情報をエンディングノートにまとめておこう

●死後の法的手続きと事務的手続き

前回は、財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書の一般的な流れを概略図したものをご紹介しました。

今回は、死後に必要な手続きを「法的手続き」と「事務的手続き」に分け、遺族のためにきちんとエンディングノートなどにまとめておくべき事項についてお話していきます。

死後に必要となる代表的な「法的手続き」と「事務的手続き」は以下となります。

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【法的手続き】
■相続

【事務的手続き】
■家族・親族・知人・関係者等への連絡
■葬儀・火葬・納骨・永代供養
■行政への各種手続き(年金・確定申告等)
■民間企業等との各種手続き(病院・入居施設の明け渡し・支払い、保険金の請求、光熱費等各種契約の解約等)
■遺品整理
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「法的手続き」である「相続」は民法で定められているもの(民法第882条 相続は、死亡によって開始する。)ですので、遺産の多い/少ない、ある/なしに関わらず、必ず手続きが必要になります。

※「相続」については、これまでにこのコラムでご紹介したものをご参考いただければと思います。

●事務的手続きのためにエンディングノートを作成しておこう

事務的手続きは上に挙げた以外にも、とても範囲が広く煩雑なものが含まれます。例えば、自宅ではなく入院先や施設などで死亡した場合は、遺体の引き取りをしなければなりません。葬儀屋さんが遺体の引き取りや安置をしてくれる場合もありますが、このときはまず誰かが葬儀屋さんに連絡をしなければなりません。

お葬式ひとつを取っても、どのような葬儀にするか、誰を呼ぶかなど、決めなくてはいけないことがたくさんあります。

こういったことは、生前に誰かにきちんと伝えておかないと、遺族や事務的手続きを行なう人がとても困ることになります。遺族のことを考えたつもりで自分の希望は伝えず「全部好きに任せる」というのが、実は一番遺族を困らせることになりかねません。「故人の希望通りに葬儀を行って見送った」というのが、残された方々の心の支えになることが多いからです。

ですので、ぜひ、まだまだ元気なうちに自分の希望を記載したエンディングノートを作成し、残される方に配慮した「立つ鳥跡を濁さず」な最期を迎えられるのが理想なのではないかなと思います。自分がもう直接希望を伝えられない死後のことだけは、遺族が悩まず、悲しみの中でも諸手続きが淡々と済むように事前に配慮しておく。きっとこれが残された方へのご恩返しとなります。

エンディングノートは、いまは書店などでも売られています。市販の白紙のノートなどに必要事項を自由に書いていくのでもいいですが、大切なものであるということがわかるように、表紙や背表紙にエンディングノートであることがわかるようにしておくといいでしょう。

もちろん、エンディングノートは大切なものですが、厳重に保管しておいて誰も見つけられないのでは意味がありません。何かあったときにすぐにわかるように、目につきやすいところに置いておいたり、常日頃から家族やパートナー同士でエンディングノートの内容や保管場所について話し合ったりしておくことをオススメいたします。

エンディングノートは法的な効力があるものではなく、形式にも決まりはありませんが、死後のことだけではなく、何かあった場合のためのものですので、記載しておくと便利なことは以下のようなものになります。

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【自分について】
■名前
■生年月日
■血液型
■居住地
■本籍地
■基礎年金番号
■健康保険の種類、加入者番号

【病気や入院等について】
■保険証の保管場所
■かかりつけの病院、歯科、病歴、アレルギー歴、飲んでいる薬など
■余命宣告と延命治療・終末医療についての希望
■臓器提供・献体についての希望
■最期を迎える場所の希望
■治療費用等の準備について(加入保険など)

【介護について】
■介護について(介護者・場所など)の希望
■判断能力が衰えたときの希望(後見人など)
■任意後見契約のある/なし 後見人の連絡先
■介護費用等の準備について(加入保険など)

【連絡先】
■親族や友人・知人の連絡先
 どのタイミングで連絡して欲しいか(入院時・危篤時・葬儀・葬儀後 ・何も知らせないで欲しい など)
■勤務先・所属団体など
■親族関係図

【葬儀について】
■生前契約のあり/なし、契約会社
■会員登録をしてある葬儀社のあり/なし、登録会社
■喪主についての希望
■葬儀委員長、世話役についての希望
■葬儀の形式についての希望
■宗教(宗派)についての希望
■遺影についての希望
■戒名についての希望
■式場についての希望
■香典・供花についての希望
※葬儀の希望などを「遺言」の中に書いておいてもまず間に合いません。
 エンディングノートに記載しておくか、普段から希望を話し合っておくことが重要です。

【埋葬について】
■お墓と埋葬方法についての希望
■供養の希望(仏壇など)
■法要についての希望

【財産について】
■預貯金のある金融機関のリスト
■所有不動産・自動車のリスト
■所有証券・ゴルフ会員権などのリスト
■加入保険のリスト
■負の財産のリスト(借金・ローン・保証人など)
※金融口座の通帳とハンコなどはエンディングノートと一緒には保管しないように!
 また保管場所や暗証番号なども記載しないようにしてください。

【遺言について】
■遺言のある/なし、遺言の種類(自筆証書・公正証書等)、遺言の保管場所
■遺言執行者のある/なし
■細かな遺品についての形見分けの希望
※遺言は法律で定められた形式にのっとって作成したものでないと無効です。
 エンディングノートに遺言を残しておいても無効となりますので注意してください。

【ペットについて】
■ペットの世話についての希望(生前契約のある/なし など)
■ペットの情報(常用食・食事回数・散歩回数・かかりつけの獣医・病歴 など)

【その他】
■年金手帳の保管場所
■車検証の保管場所
■公共料金、クレジットカードの明細等の保管場所(解約のための番号がわかるもの)

 など
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もちろん、希望とはいっても、予算に見合わないほどの華美な葬儀やお墓など、自分のわがままを書くものではないことは、おわかりいただけると思います。

ほか、このままでは余りに実務すぎますので、簡単な自分史やなぜ自分がそのような葬儀・埋葬を希望するのかの理由、周りの方々へのこれまでの感謝のことばなどを書いておくのもいいかもしれません。

●身寄りがない場合などの事務的手続きは「死後事務委任契約」で

「法的手続き」である「相続」は、希望があれば「遺言」を作成し、その遺言を実際に実現してくれる人(遺言執行者)を遺言の中で指名しておくことができます。

それでは、エンディングノートに記載した「事務的手続き」は誰に頼んでおくことができるのでしょうか。

通常は、遺族やパートナーが事務的手続きを行なうことになりますが、身寄りがないおひとりさまや頼める家族がいない場合などは、元気なうちに誰かに「事務的手続き」を頼んでおくことが必要になります。これを「死後事務委任契約」といいます。
仮に任意後見契約を結んでいる場合も、任意後見契約は死亡によって終了すると解釈されていますので、別途「死後事務委任契約」が必要になります。また、遺言執行者がいる場合も、遺言執行と事務的手続きとは異なりますので、別途「死後事務委任契約」が必要になります。

さらに、「死後事務委任」の内容は、「遺言」の中に希望として記載しておくことも可能とされていますが、通常は遺言の開示は葬儀・納骨等がひと通りの済んだ後になりますので、葬儀の希望などはまず間に合わなことになってしまいます。

エンディングノートに記載した死後の事務手続きの希望をきちんと実現してもらうには、「死後事務委任契約」を事前に交わしておくことがベストな選択となります。

また、「死後事務委任契約」は、エンディングノートに記載したような希望を受任者にしっかり伝え、契約することになりますので、まずはエンディングノートを作ってみることが、「死後事務委任契約」の大前提となります。

「死後事務委任契約」の受任者は、後見人や遺言執行者と同じ相手とし、契約は公正証書を作成して締結しておくのが一般的です。おひとりさまなどは特に全てを安心して任せることのできる相手をきちんと探しておくことが肝心です。

仮に身寄りのない方が、事前に何も決めずに亡くなった場合は、地方自治体で火葬され、無縁仏として合祀されることになります。

●今度の休日は本屋さんでエンディングノートをGET

今回は、主にエンディングノートと「死後事務委任契約」についてご紹介しました。

「後見人」や「遺言書」というと少し仰々しくて抵抗があるという方も多いと思いますので、まずはお気に入りのデザインのエンディングノートを買ってみて、パラパラと眺め、書けるところから気軽に書いてみるというのはいかがでしょうか。

エンディングノートは、一度書いたらそれで決定で、修正してはいけないものではありません。むしろ、環境や年齢、健康状態の変化、そのほかのいろんな出来事に合わせて、いつも見直していくことが重要です。日記ならぬ「年記」として、自分の思いや考えの変化を綴りながら、毎年変えていくのもいいかもしれません。

エンディングノートのあるなしで、周りの家族や親族・パートナーの負担も大きく削減されることになります。ぜひ、今度の休日には本屋さんに行って、お気に入りのエンディングノートを探してみてください!

さて。これまで17回に渡り、特に、事実婚・非婚・おひとりさま・LGBTといった方々に対し、相続や遺言、後見人などのお話をさせていただきました。そういった「いざというとき」の連載はひとまずこれで終了となります。17回もの連載をさせていただきまして、どうもありがとうございました!

この後は、しばらくお休みをいただきまして、次はまた新しいテーマで、何かの連載をさせていただこうと考えております。リクエスト等がございましたらWANさんの事務局までお送りください。

それでは、また近いうちに別の連載でお会いできたらと思います!

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【文】
 金田行政書士事務所
 行政書士 金田 忍(かねだ しのぶ)
 http://www.gyosyo.info/
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カテゴリー:大切なモノを守るには

タグ:相続 / 葬式 /