エッセイ

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文庫版『女子をこじらせて』(雨宮まみ)感想文 B子

2015.07.29 Wed

 この本に出会えてよかった!雨宮さんは私の分身なのかなと思うくらい、本を読みながらうなずきすぎて、首がもげるかと思いました。

 首がもげかけた箇所というのは、本編だけで20箇所以上ありますが、大体2つに分けることができます。

 1つは徹底した男目線の内面化。特に「自分だって男の人と二人きりで会ったり、寝たりできるんだと、ものすごい喜びでいっぱいでした。」(p.59)とか、「たった一度「男に愛された」という栄光にすがりついて」(p.105)とか、バニーガールをしてみて男が美人だけが好きじゃないとわかっても「で、それがわかって救われるかと言ったら、救われないんですね。」(p.85)とか。そういう男から与えられる価値に重きを置く気持ちすごーーーーくよくわかります。(悲)

 もう1つは「女」について。「女はいいよね、編集者だって男なんだから、オッサンと打ち合わせするより若い女と打ち合わせするほうが楽しいに決まってる。仕事もらえますよ。」(p.145)発言。こちら、営業をしている女友達も引継ぎのときに全く同じことを言われてました。そして、「女は結婚って逃げ道があるからいいよね」(p.151)発言。パワハラにあっていた女友達が上司に言われていました。そのとき友達と共有した怒りとかショックとか悲しみとか、当時はどう言葉にしていいか分からなかったけど、雨宮さんが言葉にしてくれました。「女に生まれてよかったと思ってるのに「女なんかに生まれなければよかった」と思わされてる。この状況に腹が立つのだ」(p.156)これ!まさにこれです。ここを読んだ瞬間、泣きました。そして、心強いお言葉。「女だからと言われることを恐れなくてもよく、女だからと過剰にサービスしなくてもいい。世間の「女だから」という思い込みや期待に答えなくていい。当たり前のように、女である前に個人として扱われる。そういう気楽さというものを、このとき初めて実感しました。」(p.189)なんて、素敵なんだろう。そういうことが実感できる場を増やしたいと本気で思いました。

 そして、この文庫版の目玉(?)、上野千鶴子さんの解説。まず、背中を押してくれてありがとうございます。男目線の欲望の洗脳からの脱洗脳。したいです。はっきり言います。男に金を使われたくらいで、欲望されたくらいで、満たされるくらい、自己評価低いです。(私の半径5mの話)だって、本当に本当に男目線を内面化してるから。主流である男目線と違う見方を私はします!と言い続けるのは疲れます。正直、生きづらいです。ショックも受けます。だから、迎合したくなる。すごく分かります。でも、怒っていいんだ、男目線に自覚的でいいんだ、感情にフタをしなくていいんだ。そう思えました。私は見た映画とかマンガとか知人の発言とかの違和感に対して「男目線すぎて不快」とよく女友達に話していますが、ある女友達に「ジェンダーのこと考えすぎて、逆に洗脳されてない?」と言われました。まさに昨日。(笑)それくらい男目線の欲望の洗脳は、見事に成功しています。私は女目線に洗脳されているのか?もしそうなら、本望ですが。(笑)だって、私、女だもん。自分にとって気持ちいいもの、心地いいものに素直に反応したい。

 この前、見た映画も完全に男目線の映画。楽しいところもあるんだろうけど、心からは楽しめなかったです。たとえば、看護師に対するセクハラのシーンには怒りが沸きすぎて。(映画の中では、セクハラもご愛嬌扱い)そんな男目線が牛耳る社会で生きる私が何を言っても意味ないかもしれないけど、でも言い続ける。怒り続ける。そう思いました。

 「手前勝手な男の欲望の対象になったことに舞い上がるな。男が与える承認に依存して生きるな。男の鈍感さに笑顔で応えるな。じぶんの感情にフタをするな。そして……じぶんをこれ以上おとしめるな。」(p.257)

 毎日、写経します。写経してデトックスします!女の生きる道は険しい、でも楽しいをモットーに今日も生きよう!と思える、素敵な本でした。

カテゴリー:投稿エッセイ

タグ: / 雨宮まみ

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