アートの窓

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【展覧会】「石垣陽子作品展:身体の記憶とテキスタイル」~2010年7月15日・奈良

2010.06.21 Mon

名称:「石垣陽子作品展:身体の記憶とテキスタイル――身体経験をまなざすこと/身体と向き合うこと」

期間:2010年7月8日(木)~7月15日(木) 9時―4時
   無料

場所:奈良女子大学記念館
(旧奈良女子高等師範学校本館(重要文化財))

*7月9日(金)10:40-12:10 アーティストトーク
石垣陽子(アーティスト)×山崎明子(本学教員 アジア・ジェンダー文化学研究センター員)
※本企画は、本学教養部「ジェンダー論入門」の講義の一部ですが、当日に限り一般公開します。
主催:奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター

■関連URL
展覧会会場
http://koto.nara-wu.ac.jp/kinenkan/

————-宣伝チラシから————————
本展は、女性が人生の中で経験する身体感覚と、時間的経過によってもたらされる記憶の蓄積を現代アート作品からとらえようとする試みである。

現代社会において女性の人生は多様化し、個々の女性たちの経験は必ずしも普遍化されてはいない。同時に多くの女性たちに共有され、かつて不可視化されてきた身体的変化も、社会的文脈をまとい語られるようになってきた。こうした女性の経験の多様化と身体経験の社会化は、近代から現代に至る女性の立場の変化に規定されたものである。

 その一方で、思春期の自己身体への不信感や、結婚や出産をめぐる環境・身体的変化への不安、年齢を経ることで必然的に受け入れざるを得ない更年期など、女性たちが身体を通して向き合う変化は未だに十分に語られ表現されていないのではないだろうか。本展は、こうした女性たちの語りきれない身体経験の前で、立ち止まり、記憶し、思考し、受け入れていくアーティストの身体観を感じとろうとするものである。

 本展はテキスタイル・アーティスト石垣陽子の作品によって構成される。美術・芸術世界におけるジェンダーの非対称性については、これまでにも多くの研究の中で指摘されてきた。その中で布や糸を素材とする作品に対して構造的な差別が存在すること、そのジャンルの担い手が圧倒的に女性であること、そして現在、テキスタイルという領域こそが美術界におけるヒエラルキー解消の突破口として期待されていることは、アートとジェンダーの問題系において重要であろう。

 女性表現者たちが必ずしも「芸術」の正当なる技法ではないとされながらも、祖母・母たちから自己の内部に蓄積された技法としてテキスタイルを表現媒体として選び取ったからこそ、テキスタイル表現には重層的な力が内在する。石垣陽子が向き合おうとする自己の身体経験を多くの人たちと共有することは、女性の身体経験をポジティブに読み替え、自己を肯定していくための大きな原動力となるはずである。

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