2014.08.08 Fri
♫講談社の編集者・浅野聡子さんが選んだ上野本を紹介するシリーズです♫
はじめてしっかりと読んだ上野本が今回の『女たちのサバイバル作戦』で、そのハードさ、専門用語パンチに私には上野先生の本は理解できないのかも・・・。と思った方も多いかもしれませんが、ちょっと待った! ウエノ本は、ハード・ソフト多種多様。そして対談本など、掛け合わせで見えてくる上野千鶴子の表情も万華鏡のようにくるくる変わるのがその魅力です。読まないなんてもったいない。多くの著書のなかでも、フェミニズム初心者が楽しく読めて、しかも役に立つ、“とっつきやすい”ウエノ本5冊をご紹介します。
【女って生きにくい、と悩んだら】
女ぎらい ~日本のミソジニー~ (紀伊国屋書店刊 2010年)
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「ミソジニー」。この言葉の意味を知ると、上野本はぐっと理解しやすくなるかも。
直訳すると、“女ぎらい”。わかりやすく言うなら”女性蔑視”。
ミソジニーの男には“女好き”が多い。つまり、女性を性の対象にのみ貶めて、女という記号に単純にエレクトすることが“ミソジニー”。電車の中吊りに公然とビキニ姿の女性のの写真が掲載され、女性の事件が起これば、やたらその美醜で事件性が語られる日本は、まさにミソジニー社会、といえるのかもしれません。
ミソジニーが複雑なのは、この感情が男から女へ、のみではとどまらないということ。
母親が、自分ができなかったことを実現する娘に嫉妬し邪魔をするのもミソジニー。父親に隷属しながら、自分を支配しつづけようとする母親に対する娘のミソジニー。
結婚や出産、仕事など、取捨選択、格付けが細分化したからこそお互いを監視し合ってしまう、女同士のミソジニー。
乱反射するミソジニーがこれでもか! と詰め込まれたこの本は、読んでいると正直、心がザラザラしてきます笑。ウエノ本のいちばんの魅力は、このように、疑問にも思っていなかったことをあぶりだしてくれる、蒙を啓くパワー(なかば無理やりに!)かもしれません。
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