2011.07.25 Mon
2011年6月18日土曜日の午前中に、全国3番目の「拡がるブックトーク」が高知市にある「こうち男女共同参画センター ソーレ」の主催で、同所で行われました。
テーマは「リブとフェミニズム」、講師は上野千鶴子さん、大雨警報の中、50名の予約は満杯、当日券を求めて行列ができるほどの盛況でした。(ちなみに、午後は「おひとりさま」講演会があり、午前の倍以上の人が溢れる、ソーレ始まって以来の大盛況でした。)私自身も、九州から2日がかりで車を運転し、嵐の海を渡り、大雨の高山を越えてやって来ました。
講演の初めに高知での開催のいきさつについてお話がありました。高知は、第一波フェミニズムの始まる頃、世界でも2番目か3番目に女性参政権が実現した(1880年)土地です。また、高知の女性は「外で働く」率が日本一高く、女性解放の「先進県」という伝説があります。今回のブックトークの中でも「ウーマンリブ」という「最も過激なテーマ」を、しかも行政が手を挙げてお金まで出して主催するということで、「さすが高知らしい。」という感想を持ちました。
その一方で高知は十代女性の中絶率が全国一、またDV被害率も全国有数ということで、女性が「性的に活発である。」ことや「外で働いている。」ことが、必ずしも女性が決定権を持つことにつながっていない現実が指摘されました。(かつて高知は悪名高い「模範嫁表彰」を行っていた土地でもあります。)
お話の中では何度も「外なる敵(=オヤジの横暴?)は、大したことない。内なる敵(=女らしさの呪縛)との戦いこそ、とても厄介だ。」ということが強調されました。私自身も、高知で生まれ育ったので、私の中にかつてあったそのような縛りを思い出しました。また、高知の女の経験を理論化し言語化するのは、高知の女の責任だ!自分たちの謎は、自分たちで解いてほしい、と発破をかけられました。(できたら論文にして『女性学年報』に載せてね、とバトンもしっかり渡されました。)
また、講演後の質疑応答の中では「女は弱者だ。フェミニズムは、弱者である女が弱者のまま、つるんで支え合うためのものだ。フェミニズムは強者になりたいと考えたことが一度も無い思想だ。」ということが強調されました。ところが、1990年代の小泉改革以来、「自己責任論」による「優勝劣敗」が女の中にも深く内面化し、「勝ち組」と「負け犬」という女の分断化が進んでいること、特に今の若い女性は、①女としての指定席に座れ、②男と同じ業績を上げろ、という二重の抑圧を受けており、それが母と娘の二世代の不全感となっていること、が指摘されました。
その上で、「そこから解放されるには、“良い子”をやめて“後ろ指を指される子”になればよい。顰蹙を買う人の数が増えれば恐くない。」と、慰めと励ましに満ちた愛の鞭である「上野節」が炸裂!こうして、バトンは多くの人にしっかりと渡されたのです。
ああ、来てよかった!
★くずめよし(参加者)★
追記:「こうち男女共同参画センター ソーレ」でのブックトークは、上野千鶴子さんのブログにも報告があります!
「いごっそうとはちきんの高知 ちづこのブログNo.10」 http://wan.or.jp/ueno/?p=463
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
タグ:女性運動 / 本 / 上野千鶴子 / リブとフェミニズム / こうち男女共同参画センター / 参加者レポート / 拡がるブックトーク2011 / 女性参政権 / 女性解放の「先進県」 / 模範嫁表彰 / 女らしさの呪縛 / 勝ち組 / 負け犬