2011.08.16 Tue
★拡がるブックトーク:報告★『リブとフェミニズム』@こうち男女共同参画センター/2011.6.18
拡がるブックトーク第3弾『上野千鶴子が語るリブとフェミニズム』報告
ブックトークという初めての試みにどんな催しになるのか見当がつかず、午前10時半から人が集まるだろうか、午後も引き続き男女共同参画月間講演会があるから、大丈夫だろうかという心配をよそに定員50名のところに、当日も大雨警報の中100名を超す参加者が集まりました。しかも、高知県内だけでなく、岡山や香川、福岡から参加された方も…。
上野先生は開口一番「このテーマで話できることがとてもうれしい。『リブとフェミニズム』という札付きのタイトルをやると手を挙げてくれた…この土佐のソーレ、さすが土佐のはちきん!タイトル看板の前で記念撮影してきた」と言われ、主催者としてはまず、開催してよかった、と思った。
第2派フェミニズムは1970年に生まれ、40年たって、不惑を迎えた。それを次の世代に引き継ぐために「新編 日本のフェミニズム 全12巻」を著し、ブックトークを全国展開していくとのこと。
東京で使ったという資料(A4 16枚32ページ)を1時間半という短い時間に説明され、「フェミニズムは40年間の女が要求して闘って手に入れたもの。放っておくと後退が起きる。変わっていく。世の中変わるのは自然現象じゃない。世の中,変えるんです。変えてきた女たちがいたから、これだけのことができたのです。」と力強く話をされた。
会場とのディスカッションから…。
☆Aさん「高知の女性のように働いて働いて、労働をしているけど、頭の中は女らしさで縛られている女性のことをもう少しつっ込んで話してほしい」
★上野先生「私は高知の女ではありません。女性学は女性の経験の言語化であり、理論化であるとしたら、それをなさるのは、高知の皆さんの役目です。」ときっぱり。
☆Bさん「私にとっては、女性のネットワークのほうが不自由。女性の女性による圧迫、女であれという圧迫を感じる。例えば、私は来年弁護士になる。でも、結婚しないの?と言われる。男性だったら、言われないと思う。そのことについて先生はどう思われますか?」
★上野先生「私たちの時代には女として指定席に収まれば十分だったのに、今の女性は男の子と同じように競争して、男と肩を並べるだけの業績を上げた上に、女としての幸せもゲットしないと一人前だと、親も周囲も認めない。ご苦労さんだね。大変だね。それ抑圧だと思います。でも、外圧と闘うより、自分を縛っている内圧と闘うのは大変。内圧というのはマインドコントロール、女の子はこうじゃなきゃ幸せじゃないはず、という。それを解くのは、やーめた、おーりた、と思えばいい。模範嫁から悪い嫁に。いい子から、後ろ指さされる娘に、ヒンシュク買う娘になればいい。女の選択肢が増えてきて、いろんな選択をする女が増えれば、なんだ平気じゃん、と思えるようになる。そういう時代をただ待つだけではなく、あなたにつくってほしい」
☆Cさん「アメリカではヒラリー・クリントンのように、女性が政策決定の場に少なからずいる社会、でも、日本ではまだまだ、政策決定の場に女性が出ていない、その違いはどこにあって、それをどのように評価したらよいのか聞かせてほしい」
★上野先生「面白い質問をありがとう。女が権力握る、女が意思決定権を持つ、女が男と同じことをやって何の意味がある?と思う。フェミニズムは女が男のようになりたいと思う思想ではない。女の経験を大事にしたい。女が意思決定権を握るのは今の仕組みを変えるためで、男と同じことをやるためではないと思う。フェミニズムは女たちがつるむ思想、つるむのは女が弱いから、弱者だから。弱者が弱者のままで生きていくにはどうすればよいかを考えてきたのがフェミニズムだと思うから、ただ単純にクリントンが大統領になればいいなとは思っていない。」
☆Dさん「大学に勤めている。女子大生と話していると、フェミ、ダサい。つるむのもダサい。私、女で損したことない、と言われて、そういう人たちにフェミニズムをどうやって伝えたらいいのか?」
★上野先生「いい質問をくださいましたね。ほんとにその通りです。フェミ、ダサいです。弱者であることはダサいことです。弱者がつるむことはとってもダサいこと。大学にいる女の子たちは自分を強者だと思っている。大学にいる間はいい。しかし、強いと思った女の人も必ず女の共通の悩みや問題にぶつかる。女の抱える問題には普遍性がある。おばあちゃん、お母さん、あなた、あなたの子どもたちの間につながりがあることを伝えたい。つながるための作法と技法とルールを伝えたい。」
■ブックトーク担当:ソーレスタッフ■
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
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