私たち「日本女性放送者懇談会」は放送を中心とするメディア界で働く女性たちのネットワークです。
今回、財務省事務次官の女性記者に対するセクシュアル・ハラスメントに関する一連の報道で、女性記者を一人にさせたくない思いから、アピールを出します。
財務次官の発言や、その後の財務省、政府の対応に対しては既に財務省記者クラブ「財政研究会」や新聞労連(日本新聞労働組合連合会)、民放労連(日本民間放送労働組合連合会)などが声明を出しており、私たちも同じ思いをいだいています。
しかしながら、19日未明にテレビ朝日が記者会見を行い、同社の女性記者が被害者(の一人)であったことがわかってから、事態は変わってもきました。報道局長が財務省に対する抗議の意思を示したものの、改めて報道の現場で働く女性が抱える問題が浮き彫りになりました。私たちは、すでに民放労連などが求めている、財務省による調査続行・事実解明・権力者による記者への圧力を容認できないことに加えて、以下の2点を問題としています。
①女性記者が自身の上司に対して、財務省トップのセクシュアル・ハラスメントについての相談をしながら、組織がきちんと対応しなかったこと。
②女性記者が自身の身の安全を守るために録音したデータを、第三者(新潮社)に渡したことをテレビ朝日の報道局長は「不適切」と述べていますが、今回のことはそうしたこれまでの報道の「ルール」にまとめられてよい事柄でしょうか。
報道機関における女性の参画が諸外国に比べて大きく遅れているのは、女性たちの声を報道組織がすくいあげてこなかったことにも大きな原因があります。また現場で働く女性たち自身も取材や番組作りの為に、我慢してきた点も少なからずあります。決してテレビ朝日一社だけの問題ではありません。
今回、女性記者が、勇気を出して声をあげてくれたことを、放送界で働く私たちは応援したい思いでいっぱいです。
これを機に、官庁、各報道機関、企業において、セクシュアル・ハラスメントについて現場の女性たちの声に耳を傾けるよう強く希望します。
2018年4月20日
日本女性放送者懇談会有志
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