『NPOを解散することを書いた本なんて、いままでなかったと思う。
これが私たちなりに納得した「SKIP終結宣言」だね。』(本文p.87)

全6章から成るSKIPの結成からNPO法人化、
そして解散までの記録が綴られている。
SKIPは、1993年に、初代メンバー4人が出会い、
2000年11月に愛知県で70番目にNPO法人となった。
4人の女性は、名古屋市の託児付き講座で出会ったと言う。
当時は「託児をしてまで勉強したいの?子どもがかわいそう。」
と言われる時代。
きっかけは、必然としてやってくる。
必要は発明の母。
「私一人ではなにもできないかもしれない」と
思うひとり一人が、「私たち」になった時、
そして、「私」のこの問題は決して私個人の問題ではない。
私たちの問題なのだと気づいた時、思いのベクトルが重なり合い、
同じ方へと向き示され、始まりを告げる。
1994年、全国で初めての託児付きコンサートを名古屋で開催。
今では、当たり前になった子どもを預けるというシステムをつくった。

第4章に「これまでの私、これからの私―SKIPで上野千鶴子に〇〇〇を学ぶ」
と銘打った上野さんの講演会および同日に行われた座談会が収録されている。
これらは、SKIPがNPO法人格を取得した記念に、
上野さんを迎えて、2001年2月に開催された。
1998年、日本経済新聞社から『「女縁」が世の中を変える』
という本を出版された上野さん。
「女縁(じょえん)」は、上野さんがつくられた言葉。
加入・脱退が自由な選択縁。「女縁」からはじまり、
女を取り巻く状況と変化を繙いていく。
その時代を背景にして、女たちのニーズは、
時間の経過とともに移り変わっていく。
「不況であれ何であれ、どんな状況であれ、逆境であれ、
それを逆手に取って自分にとって一番ましな生き方、
男社会がトクするんじゃなくて、自分にとって一番プラスになる生き方を、
女が選び直すチャンスは、前よりは確実に増えてる、そう思います。」
(本文p.54)
上野さんのエールを優しいと感じるか、衝撃と感じるか、
もしくは、追想にほほえみを浮かべるか、
それはあなたの歩んできた人生の道程によるだろう。
この本を読んで、胸騒ぎを感じたら、
つぎのステップを踏むあなたへの合図かもしれない。
■ 堀 紀美子 ■
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