「WAN基金コロナ禍対策女性連帯プロジェクト」では、2020年9月8日、助成第18号として 自立援助ホーム ミモザの家に、助成金を振り込みました。

ミモザの家は、2020年に開設された女子向けの自立援助ホームです。
児童養護施設を対処してすぐに行き場の見つからない、家庭の崩壊や虐待などで居場所のない子どもたち。
「ミモザの家」はそんな彼女たちの第2の家庭です。
子どもたちにとって生きにくい時代だからこそ、子どもたちの健やかな成長を見守る人と人とのつながりある地域、地域全体で子どもたちの自立を支える社会を目指し、「ミモザの家」は活動しています。

ミモザの家の以下のような【あるやんプロジェクト】に対して、WAN基金運営委員会は助成します。

【あるやんプロジェクト】とは、自立に向け、彼女たちが自分の世界を広げ、一人で生きていくために必要なスキルを身につけるための環境設備を整えるためのプロジェクトです。

 ミモザの家にある空き部屋を活用して、ここにいる子どもたちが世界を広げられるような図書館のような部屋を作りたいと思っています。子どもたちと話していて【あるやんプロジェクト】という名をつけたのですが、いろんなジャンルの本や資料を置いたり、工房のような場を用意したりして、何か子どもたちの興味や新しい一歩を踏み出すきっかけを作れたら、と思っています。
ドアを開け、新しい一歩を、勇気を持って踏み出していくのは彼女たち自身なので、代わりにやってあげるとか、私たちが決めるということはできません。「自分で決める」ということが難しい環境で育ってきた子が多いですが、一方で「支援が支配になってしまう」ことはしたくないと思っています。本人たちが自発的に世界を広げていく、何かその仕掛けや、背中を後押しするようなものを提供したいと考えています。

 具体的には、
① 専門学校や大学進学したい、各種資格を取得したい、という彼女たちの夢を実現するため、パソコンや学習用のデスク、プリンターなど周辺危機を揃えるための資金として使わせていただく。
② 「ミモザの家・ライブラリー」を充実させて、ミモザの家に入居してない女の子たちにも活用してもらえるような場にしたい。
③ 入居女性の提案型企画「ミモザ会」、「K POPカフェ」、パティシエのボランティアによるスイーツを製作・販売やサロンスタイル等の実施。
④ ミモザの家の入居者へお譲り頂いた、就活用のスーツ、くつ、カバン、フォーマルウェア等を、なくて困っている女性へ無償貸出、衣類の譲渡(アウトリーチ活動)

【背景 新型コロナ感染拡大と自立援助ホームで暮らすハイティーンの子どもたち】

2020年春からの新型コロナ感染拡大が、自立援助ホームで生活する子どもたちの就労・就学・生活全般に大きな影響をおよぼしています。虐待などにより家族と暮らす権利をはく奪されてきた子どもたちは、平時においてすら不安定な生活を強いられていました。

ミモザの家にやってきた子どもたちは、政府により自粛を強いられるなかで、なかなか仕事を見つけることができず、精神的なダメージを受ける等一気に問題が顕在化しました。
就学支援に関しては、学校に通うはずの子どもたちが、長期間登校できず、オンライン学習の環境が整っていない中で、ストレスの高い生活を強いられました。
現在、入居者は現在3名ですが、児童相談所からの緊急一時保護委託先として中学生の女の子も受け入れています。さらに東京や大阪、岐阜などから家出をしてミモザの家にSOSを発信してきたものの、「これ以上施設で暮らすのはもう嫌だ」という気持ちを尊重し、彼女たちの生活の場へ、食材や衣料を届けています。

ミモザの家での暮らしは短いです。退居したあと、新型コロナの影響でいったん離職すると、家賃やスマホ代金を支払うことができず、住み込み就労や空き家で暮らすことになります。多くの子どもたちは、低学歴による低所得、不安定な就労での生活が特徴で、離職率や転職率が高く、家賃が払えなくなるケースが多くなっているのです。
借金が重なり、生活保護を受給するケースになりかねません。さらに性産業に従事することにもつながります。社会の中心からはじき出されることで、万引きなどの犯罪をしたり、居所不明になったりすることもあります。

 【あるやんプロジェクト】は、入居しているハイティーンの女性たちと一緒に事業を実施しながら、生活支援・就労支援・就学支援をすすめていきます。第2波の継続、第3波の感染拡大を想定し、機動的な伴走型支援と安心できる居場所を確保します。

このような活動に対して、WAN基金運営委員会は敬意をもって助成を決定し、迅速に助成金交付を行いました。
WAN基金では、皆様からいただいた寄付を、次々にこのような「しんどい女性を支援する」女性活動団体に対して、 助成を進めています。