
昨年、一斉休校要請から始まった子どもたちのコロナ禍。マスクをつけ、ソーシャルディスタンスをとることが日常化して1年半がたちました。修学旅行や運動会、学芸会などの行事の中止や外出自粛。子ども食堂や児童館などの子どもの居場所も、休止あるいは活動制限されています。「助けて」という声が出せない中で、DVの増加や貧困の深刻化が進み、子どもたちのいのちと心身の健康は、大げさにではなく脅かされています。
今年の子ども白書は、子ども・若者、そして子どもにかかわるおとなを含めて、コロナ禍での困難をできる限り可視化することにつとめました。障がいのある子ども、外国につながる子ども、シングルマザーなど、コロナ以前から困難を抱えてきた家庭のさらなる困窮が、実践現場からリアルに報告されています。また、家族多就労化によりアルバイトで家計を支えながら学んでいる学生たちが想像以上に増加していることも、フードバンクの広がりからうかがえます。
おとなには何ができるのでしょうか。「子どもを出発点にしたボトムアップの支援をどうやってつくっていくか」(ルポライター・杉山春さん)、「子どもの声を聴き、子どもの権利を守るためにその声を必要に応じて代弁すること(=子どもアドボカシー)が必要」(児科医師・田中恭子さん)。具体的には、日々の寄り添いや居場所づくりの努力、そこで聴き取られた子どもたちの声を知ることが一歩となります。そんな取り組みも、たくさん紹介しています。
定点観測コーナー「子どもをめぐるこの1年」は、今年から「保育・学童保育」「ジェンダー・セクシュアリティ」領域を新設しました。昨年スタートした「若者チーム企画」は、「『モヤモヤ』から語る私たちの未来」。大学生・院生を中心にした若者たちがつくっています。「児童は、人として尊ばれる」と謳った児童憲章制定70年、東日本大震災10年の企画もあります。
書誌情報
・B5判 並製 208ぺージ 横書き
・巻頭カラー綴じ込み=子ども生活関連年表+こどもが考えた気持ちを楽にする23のくふう
・定価3080円(本体2800円+税)
・イラスト すがわらけいこ
・オリジナルデザイン 小林直子
慰安婦
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