お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談 54: 「定年を機に、少し自分を変えたいと思っています」

2015.10.25 Sun

スーパーのレジなどでお金を払う時に、私は後ろに人が並んでいるとすごく焦ります。そのため、小銭を数えているヒマがなくてついお札を出してしまうために、私の財布の中はいつも小銭で一杯です。それを見るにつけ、なんで私は見も知らぬ人に気を使って、自分のお財布はこんな酷いことにしてしまうのかと思います。

考えてみれば、私はお客さんのためには食事だって平気で作りますが、自分のためにはお茶を入れるのも面倒です。これまでは働いていたからそれでもよかったのですが、来春、定年なので、それを機に少し自分を変えたいと思っています。友人の中には自分一人のためにちゃんときれいに昼食を用意する人がいるので、そんな風になりたいのですが・・・。

例えばレジで後ろに並ばれても平然と自分を保てたり、自分のためにも何かできるようになるには、どういうところを変えていけばよいのでしょうか。アドバイスをお願いします。

(あかね 59歳)

回答

回答 54:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

あかね様、

仕事は何をしていらしたのか、何年ぐらいやっておられたのかが不明ですが、働く(いてきた)女性として、前倒しで、ご苦労様と申し上げておきますね。あなたのお財布が「酷いこと」になっているという表現、そこはかとなくユーモラスで、ふと微笑みました。なんというかこれだけでなくあなたの表現自体いささかユーモラスで、ユーモアやウイットが大好きな私としては、この感じを読み取るだけでニヤリです。ヘンに深刻にお書きになっていないところがいいですね。困難な事態を「笑ってしまう」のも素晴らしい知恵ですから。

まじめな相談をチャカすな、とお怒りにならないでね。

さて、どう反応すればいいのか、こんなふうに始めてしまえば困ったことになりそうです。つまり、他者(仕事も含めて)には十分に気を使えるが、ご自分には気を使えない、換言すれば自分をどう大事にすればいいかがわからないということでしょうか。こう言ってしまえば言い過ぎになるようにも思いますが、いかがでしょうか。もしこれまでご自分の要求や望みを顧みないできたとすれば、そこから始めなければなりませんね。

一般的に、その人の持つエネルギーの量は一定と言えます。エネルギーを何かにたくさん使えば、別のものには、少なくしか使えません。ご自分にはエネルギーをあまり注げなかったのでしょうか。どうかご自分を大事にしてください。

人生も半分を過ぎました。「もうどう思われてもいいじゃない?」と開き直ってみてはいかが?まずは、スーパのレジで、一度思い切って小銭を数えてみて。早くして、と誰にも言われなかったらしめたもの。これを経験にしてみてください。うまくいくことを願っています。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。