2011.07.17 Sun
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.今この瞬間にも世界のあちこちで赤ちゃんが誕生している。
その子たちはどのようにしてこの世に誕生し、女性たちはどんな思いや体験を重ねて、子供を迎えているのだろうか。
また、母と子を支える家族や地域社会はどのような手助けや祝いの儀式を準備しているのだろうか。
本書は、世界の各地域―日本・タイ・ハンガリー・アメリカ・ドイツ・ネパール・モロッコ・インドネシア・ラオス・中国・パラオなどなど―の出産の状況を、文化人類学・助産学・歴史学・社会学などのさまざまな分野の執筆者が紹介し、論じている。
近代化とともに、出産のあり方は大きく変わってきた。現在、アジアでは、農村部などにも近代医療が普及して、出産時の母子の死亡が減るとともに、母と子を支えてきた出産をめぐる社会関係にも変化が起きている。また、過剰ともいえる出産の医療化が商品化とともに急激に進んで、半分以上の出産が帝王切開になっているところもある。
欧米では、アメリカでは病院出産がほとんどなのに対して、オランダでは現在でも自宅出産が三割ほどある。これらの国の母子の死亡率は低い水準だが、オランダはアメリカよりさらに低い。
このように、社会が近代化しても出産のあり方は多様で、伝統社会での出産のあり方、国の医療政策、商業資本の展開の仕方などによってさまざまな様相をみせる。
すべての人が「よいお産」ができるためには何が大切なのか。本書は、マレーシアの伝統産婆の変化や、韓国の産後の養生のためのゴージャスな施設、フィンランドのマタニティーケアのシステム、インドの代理出産をめぐるメディカルツーリズムの現状など、現在の出産をめぐる豊富な事例と、考察の切り口を提示する。人の生まれる現場は、こんなにも多様で、豊かだ。(編者 小浜正子)
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