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【どうして女性支援の政策が必要なのか】福祉の対象とならずに今まで取り残されていた女性政策【「困難女性支援法」にパブコメで応援のご意見を】 
 

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「困難女性支援法」に関する意見が、募集されています。
①困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)に関する御意見の募集
②困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係法令(案)に関する御意見の募集
パブコメへの意見提出
①はこちら↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495220327&Mode=0
②はこちら ↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495220328&Mode=0
※意見募集要項(PDF)意見提出様式(Excel)の 意見募集要領(提出先を含む)をダウンロードしてからチェックをいれないと、提出できないようになっています。
●募集期間 2023年(令和5年)1月20日(金)から同年2月18日(土)まで(郵送の場合は終了日、電子メールの場合は17時必着)
基本的な方針案PDF→https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000247224
●関係法令/法令案PDFhttps://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000247227
●関係法令/省令案PDFhttps://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000247228

●以下「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)」 PDFからの抜粋です。
(ここから↓)
1.これまでの経緯
困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和4年法律第52号。以下「法」という。)の成立以前は、我が国において、対象者が「女性であること」に着目した福祉的な支援のための施策は、法による改正前の売春防止法(昭和31年法律第118号。以下「旧売春防止法」という。)第四章の規定に基づく婦人保護に関する施策が中心であり、法に基づいて婦人相談所の設置、婦人相談員の委嘱、婦人保護施設の設置等の婦人保護事業が進められてきた。しかしながら、法に基づく婦人保護事業は、法第34条第3項において「性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子」と定義される「要保護女子」の「保護更生」を目的とするものであり、困難な問題に直面している女性の人権の擁護・福祉の増進や自立支援等の視点には不十分なものであった。
時代が下るにつれ、社会経済状況の急激な変化とともに、女性の高学歴化が進み、就業率が上昇した。また、婚姻に関する意識や家族関係の変化により、女性の支援ニーズも多様化したにもかかわらずそのような変化に対応するための法改正は行われないまま、婦人保護施策は、その対象者を拡大する対応にとどまった。「売春」以外の、生活困難や家庭環境の問題等のさまざまな課題を抱えた女性が婦人保護事業の現場において増加したこと等も受け、昭和45年には、「昭和45年度婦人保護事業費の国庫負担及び補助について」(昭和45年厚生省社会局長通知)において、「婦人相談所又は婦人相談員がその受け付け時点において転落のおそれなしと認めた婦女子については、当該婦女子が正常な生活を営むのに障害となる問題を有しており、かつ、その障害となる問題を解決すべき機関が他にないと認められる場合に限り、転落未然防止の見地から当該障害となる問題が解決されるまでの間、婦人保護事業の対象者として取り扱って差し支えない」旨が示され、婦人保護事業の対象が「売春を行うおそれのある女子」以外にも拡大された。

また、平成13年に施行された配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号。以下「配偶者暴力防止等法」という。)においては、法第3条から第5条までにおいて、婦人相談所、婦人相談員及び婦人保護施設が、配偶者からの暴力を受けた者の支援を行う機関として位置づけられ、配偶者暴力防止等法が、婦人保護事業の根拠法のひとつとなった。
さらに、日本に入国した外国人女性が監禁されたり、「売春」を強要されたりといった人身取引の被害報告が増加したことを背景に、平成16年に「人身取引対策行動計画」(人身取引対策に関する関係省庁連絡会議決定)が策定された。警察署等において人身取引被害者を発見した場合の対応として婦人相談所等に当該女性の保護を依頼すべきこととされたことを踏まえ、厚生労働省からも、人身取引被害者の保護を実施する機関として婦人相談所が留意すべき事項を地方公共団体に向けて通知した。
加えて、累次の改正により、現行のストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第9条では、ストーカー行為等の相手方(被害者)に対する支援が明確に位置づけられたことから、婦人相談所等によるストーカー行為の被害者への適切な支援についても通知がなされている。 このように、女性達が直面している問題も多様化し、また複合的な困難な問題を抱える女性の増加も指摘されてきたと同時に、婦人保護事業の対象者も拡大してきたが、旧売春防止法における婦人保護に関する規定が抜本的に見直されることはなかった。これらの状況を受けて、旧売春防止法に婦人保護事業の根拠を置くことそのものの制度的限界が指摘されるようになり、女性活躍加速のための重点方針2018(平成30年6月12日すべての女性が輝く社会づくり本部決定)においては、「婦人相談所等における支援について実施した実態把握の結果等を踏まえ、課題の整理を行い、社会の変化に見合った婦人保護事業の見直しについて有識者等による検討の場を設ける。その議論を踏まえつつ必要な見直しについて検討する。」旨が決定された。

平成30年7月には、厚生労働省子ども家庭局長が有識者等の参集を求めた「困難な問題を抱える女性への支援の在り方に関する検討会」が開催され、婦人保護事業の将来的な在り方等について検討を行った。本検討会が取りまとめた「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会中間まとめ」(令和元年10月11日)においては、婦人保護事業の支援対象者像の拡大や、旧売春防止法を制度的根拠とすることの限界が改めて指摘され、「人権の擁護と男女平等の実現を図ることの重要性に鑑み、様々な困難な問題に直面する女性を対象とした包括的な支援制度が必要である」こと、「(略)女性が抱える困難な問題は、近年、複雑・多様化、かつ、複合的なものとなっており、旧売春防止法を根拠とした従来の枠組みでの対応は限界が生じている。このような認識のもと、女性を対象として専門的な支援を包括的に提供する制度について、法制度上も旧売春防止法ではなく、新たな枠組みを構築していく必要がある。」こと、また「旧売春防止法に基づく「要保護女子」としてではなく、若年女性への対応、性暴力や性的虐待、性的搾取等の性的な被害からの回復支援、自立後を見据えた支援など、時代とともに多様化した困難な問題を抱える女性を対象として、相談から保護・自立支援までの専門的な支援を包括的に提供できるようにすることが必要である」ことや「行政・民間団体を通した多機関における連携・協働を通じて、支援が行き届きにくい者も対象とし、早期かつ、切れ目のない支援を目指すことが必要である」ことが指摘された。
このような状況の中で、国会においても、婦人保護事業の旧売春防止法からの脱却を目指す動きが強まり、令和4年5月、議員立法である法が成立した。法は令和6年4月1日から施行されるものであり、法の施行に伴い、旧売春防止法のうち、補導処分及び婦人補導院について規定した第3章並びに婦人保護事業について規定した第4章は廃止されることとなった。なお、婦人補導院については、以下の理由から廃止することとしており、当該廃止に伴い、関係法令(婦人補導院法(昭和33年法律第17号)、婦人補導院処遇規則(昭和33年法務省令第8号)及び婦人補導院組織規則(平成13年法務省令第5号))についても廃止されることとなった。
・ 女性を婦人補導院に強制的に収容して矯正する補導処分の仕組みは、法の趣旨に合致しないこと
・ 法で新設する、困難な問題を抱える女性に関する包括的な支援体制により、従来の制度では婦人補導院における補導処分の対象となるような女性も含めて、支援可能となること
・ 近年の補導処分の件数が極めて低い水準で推移していること

2.方針のねらい
旧売春防止法第4章に基づく婦人保護事業は、困難な問題に直面している女性の人権の擁護・福祉の増進や自立支援等の視点は不十分なものであった。また、婦人保護事業による支援の対象者が拡大してきた中においても、なお、制度や施設等の利用に円滑につながりにくい場合があること、旧売春防止法下での支援内容が実際の支援対象者のニーズに合わないこと、婦人保護事業の存在等に関する周知が不足していること、地方公共団体によって制度の利用に独自のルールが設けられている場合があること等を背景として、婦人保護事業は困難な問題を抱える女性への支援が重要な課題となっているにもかかわらず十分に活用されてこなかった。さらに、女性への支援に取り組む民間団体も現れてきているが、活動基盤が脆弱な状況が見られる。
法は、「売春を行うおそれのある要保護女子」の「保護更生」を目的とした旧売春防止法第4章とは異なり、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により、日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える、あるいは抱えるおそれのある女性を施策の対象とし、それらの女性が自らの意思を尊重されながら、その置かれた状況に応じてきめ細やかで、支援対象者に寄り添いつながり続ける支援を受けることにより、その福祉が増進され、自立して暮らすことができる社会を実現することを目的としている。
法のもとで実施される女性支援事業に関しては、これまで婦人保護事業の中核を担ってきた婦人相談所、婦人相談員及び婦人保護施設が、名称を女性相談支援センター、女性相談支援員及び女性自立支援施設と変更した上で引き続き事業の中心となる。一方で、困難な問題を抱える女性に対しては、独自の支援を実施している民間団体が存在しており、これらの民間団体の特色である柔軟性のある支援や、これまでの活動の中で蓄積された知見や経験、育成されてきた人材等は、困難な問題を抱える女性への支援を進める上で有効である。この点を踏まえ、困難な問題を抱える女性への支援に当たっては、行政機関と民間団体は、双方の特色を尊重し、補完し合いながら対等な立場で協働していくことが求められる。また、女性支援に当たっては、関係地方公共団体相互間の緊密な連携と合わせて、女性支援を行う機関と、他の施策に関連する様々な機関が緊密に連携しながら、支援対象者の置かれた状況に応じてきめ細やかな、つながり続ける支援を実施する必要がある。
こうした地域での支援体制の構築に際しては、大きな地域格差が生じることのないよう、国において全国の支援体制の状況等の把握や課題分析等を行うとともに、都道府県及び市町村が中心となり、困難な問題を抱える女性の人権の擁護、性暴力や性的虐待、性的搾取等の性的な被害からの心身の健康の回復、生活再建等に必要となる支援体制の強化や地域福祉との連携の強化を図っていく必要がある。
さらに、旧売春防止法における旧婦人相談所、旧婦人相談員及び旧婦人保護施設は、配偶者暴力防止等法第1条に規定する配偶者からの暴力等及び配偶者暴力防止等法第28条の2に規定する関係にある相手からの暴力を受けた被害者(以下「配偶者暴力被害者」という。)への支援の受け皿として位置づけられてきた経緯があり、法施行後も引き続き、法の支援の対象者として配偶者暴力被害者が含まれることとなる。一方、配偶者暴力被害者については、配偶者暴力防止等法及び法の下位法令等に基づき支援を行う必要があることから、これまでも、困難な問題を抱える女性への支援の枠組の中において、配偶者暴力被害者への支援とそれ以外の者への支援が併存している状況が続いてきたところである。法の施行に当たっては、配偶者暴力防止等法と法の関係性を整理した上で、例えば、必要に応じて近隣自治体とも連携しつつ、配偶者暴力被害者をはじめとする所在地の秘匿性の必要性が高い場合と、地域に開かれた社会生活等が重要である場合、それぞれに適切な支援を提供できるような施設や支援の在り方の検討に努める必要がある。
また、法の施行に当たっては、地域によって困難な問題を抱える女性への対応に大きな格差が生じるべきではなく、支援対象者が全国どこにいたとしても、必要十分な支援を受ける体制を全国的に整備していく必要がある。一方で、困難な問題を抱える女性を巡る状況は地域の特性によって異なることも踏まえ、法は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本計画(以下「基本計画」という。)の策定を都道府県に義務づけるとともに、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対しても努力義務として基本計画の策定を求めている。困難な問題を抱える女性への支援体制の構築を着実に進めるに当たっては、本基本方針に則って各地方公共団体が基本計画を定めることが重要である。

この基本方針は、法第7条第1項の規定に基づき、困難な問題を抱える女性への支援に関する基本的な事項、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の内容に関する事項及び都道府県等が策定する基本計画の指針となるべき基本的な事項について、法の趣旨や困難な問題を抱える女性の実態、支援対象者に対する支援の実態や課題等を踏まえて定めることにより、困難な問題を抱える女性の福祉の増進及び自立に向けた施策が国及び地方公共団体において総合的かつ計画的に展開され、個々の支援対象となる女性に対して効果的に機能することを目指すものである。国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施及び制度運営に関する予算等の検討に当たっては、この基本方針を十分に踏まえる必要がある。
(抜粋ここまで↑)

方針案のPDFの一部画像↓