本邦初のインド北東部女性作家アンソロジー!

 本書は、インドの東側の端、バングラデシュ、ブータン、中国、ミャンマーに囲まれた、「インド北東部」といわれる地域の女性作家から届いた、本邦初のアンソロジー(選集)です。この地域は、南アジアと東南アジアの結節点に位置し、先の大戦中、インパール作戦の激戦地にもなり、日本とも歴史的に関係が深いものの、これまでほとんど紹介されて来ませんでした。実は、インド北東部は、一般的に私たちがイメージする「インド」とは異なる歴史・文化・慣習に育まれ、数百の異なる民族・言語を話す人々が住んでいるアジア屈指の文化民族的に多様性を誇る魅力的な地域です。しかしながら、その独自性について「インド本土」からは十分に理解されず、紛争や低開発、周縁化を地元の人々は長年経験してきました。当財団は、そのようなインド北東部の人々――特に女性たち――が、自らの手で、自分たちの歴史、記憶と記録を次世代に継承していく拠点や基礎をはぐくむ支援を行ってきました。その一環として、インド屈指の独立系フェミニスト出版社であるズバーンと協力し、インド北東部の女性やマイノリティの人々による短編作品のアンソロジーをこれまで7冊出版し、国内外で大きな好評を博しています。
 今回のアンソロジーでは、これまでインドで出版した書籍の中から、ズバーン出版社の主宰者で、インドを代表する作家、フェミニストでもあるウルワシ・ブタリアさんが日本の読者のために抜粋した文学作品を取り上げています。
 『そして私たちの物語は世界の物語の一部となる』というタイトルは、東ヒマラヤ山脈の麓に位置するアルナチャル・プラデーシュ州出身の作家、ママング・ダイさんの解説の一節から取ったものです。「辺境」とされる地域に生まれる、という運命を背負い、女性たちが紡ぎ出した現代の寓話たちの数々。黒柳徹子さんは「デリケートに心の動きが書いてあり、生き生きと、また沈鬱に訴えかける。物語の結末は、思い切りがよく、またひょいと心の中にしまってあったものが、ひょいと出てきた、という風であった」と表現されました。今、日本に住む私たちにも通じるものがあるはず。ぜひ、手に取ってお読みください。

◆書誌データ
書名 :そして私たちの物語は世界の物語の一部となる:インド北東部女性作家アンソロジー
著者 :ウルワシ・ブタリア編 中村唯 監修
頁数 :286頁
刊行日:2023/5/26
出版社:国書刊行会
定価 :2640円(税込)

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そして私たちの物語は世界の物語の一部となる: インド北東部女性作家アンソロジー

著者:ウルワシ・ブタリア

国書刊行会( 2023/05/28 )