
望まない妊娠による中絶を根本から問い直す28個の提言
■全米騒然
ニューヨークタイムズ・ベストセラー
世界9カ国で翻訳
刊行前からSNSで話題沸騰!
望まない妊娠は、セックスをするから起きるのではない。
女性が世界一ふしだらなビッチだったとしても、何の問題もない。
女性の50倍の生殖能力を持ち、
コンドームを着用したセックスは気持ち良くないという偏見に囚われ、
あらゆる避妊の責任を女性に押し付ける男性が、
無責任な射精をしたときのみ起きる。
望まない妊娠による中絶と避妊を根本から問い直す28個の提言。
「セックスをする人、セックスをしたい人、あるいは将来セックスをするかもしれない人を育てている人にとって、必読の書」(ワシントン・ポスト紙)
■なかなか目をひく紹介文をひっさげて、7月21日に『射精責任』が刊行された。すでに日本でも刊行前からSNSで話題沸騰の注目の本となっていた。刊行後は、嬉しいことに各種メディアでも取り上げられているので、本書の真っ赤で目立つ表紙を目にした人も多くいるのではないだろうか。
本書は、Ejaculate Responsibly: A Whole New Way to Think about Abortion(2022)の全訳である。『射精責任』Ejaculate Responsiblyという挑発的な書名は、眉を顰める人がいることを承知のうえで、中絶が男性の問題であることを一言で表すために著者があえて名付けたものだ。日本語タイトルの『射精責任』も原著同様に、そのタイトルをみて眉を顰める人もいるようだ。そうした反応をみるにつけ、これまでみなが薄々は気が付いていたけども、うまく言語化できていなかった居心地の悪い事実を「射精責任」という四字熟語が的確に言い得たのだなぁと妙に納得してしまう。
本書は重厚長大な学術書ではない。薄くて持ち運びもしやすいハンドブックだ。にもかかわらず、議論の焦点が女性にもっぱら偏ってきたこれまでの中絶論を、ガラっと180度反転させて、議論の焦点を男性にあてるというウルトラCの荒業をやってのけた。本書をお読みいただければわかるとおり、本書の主張は28の提言(下記に引用)としてまとめられており、いずれもデータに基づいた説得的な議論となっている。表紙のギラついた(!)奇抜さとはうってかわって、本書の主張には突飛なところはない。むしろ、私たちが本当は気が付いてきたけど正面から考えることをなんとなく避けていたことを(にもかかわらず大事なことを!)、コンパクトな本書は言い尽くしてくれている。
本書の主張の肝とは、望まない妊娠の原因は100%男性にあること、また男性にとって望まない妊娠を避けることは難しくないこと――無責任な射精をしなければよいだけなのだから――という、いたくシンプルなものだ。中絶の議論の仕方を変えないかぎり、望まない妊娠による中絶は減らない。望まない妊娠による中絶を本気で減らしたいならば、議論の仕方を変える必要がある。中絶を減らすための最重要人物とは、女性ではなく男性なのだから、と本書は主張する。
アメリカ社会で中絶の権利が危機に瀕しているという社会的背景のなかで本書はうまれた。しかし、本書の主張それ自体は、アメリカ社会以外にも広く該当する普遍性をもつものだ。たとえば、女性の痛みや妊娠、出産、育児の大変さは軽視されがちであること。男性にとって避妊は簡単なことであるはずなのに、避妊に消極的な男性があまりに多いこと……。なるほど、こうした指摘はいずれも日本社会に広くあてはまる。
男性の射精責任を考えるためのヒントは、コンパクトな本書にぎっしり詰まっている。本書の読み方はいろいろあるだろうが、周りの人やパートナーと議論をするさいのきっかけ作りの本としても活用いただけるのではないかと考えている。ぜひ日本でも、本書の刊行を契機に男性と中絶の問題ひいては男性と生殖の問題を考える機運が高まることを願っている。
■【目次】
はじめに すべて男性にかかっているのです /1 男性の生殖能力は、女性の50倍/2 精子は最長5日間生き続ける/3 女性の排卵時期は、予測できない/4 排卵はコントロールできないが、射精は違う/5 女性用避妊具は、手に入れにくくて、使いにくい/6 男性用避妊具は、驚くほど簡単に手に入る/7 男性はコンドームが嫌いだというのは、思い込みにすぎない/8 精管結紮術は、卵管結紮術に比べて、リスクが低い/9 女性に避妊を期待しすぎている/10 男性が楽をできるなら、女性が苦しむのはしかたない?/11 セックスの最優先事項と目的は男性の喜びだ、と社会が教えている/12 女性は快楽なしで妊娠できる/13 望まない妊娠は、すべて男性に責任がある/14 自分の体にも、男性の体にも、責任を持つのは女性である/15 ターゲットを男性に絞る必要がある/16 男性の行動に責任を持たせることは、女性を被害者にしない/17 男女間の力の差は、簡単に暴力に繫がる/18 女性は妊娠から途中退場できない/19 妊娠と出産は正しく語られていない/20 子育ての現実と負担は計り知れない/21 妊娠が罰になるべきではない/22 養子縁組は中絶の代わりにはならない/23 無責任な射精をする男性のリスクはゼロ/24 精子は危険である/25 認めたくないみたいだけれど、男性は自分の肉体や性欲を管理できる/26 男性は自分が中絶を簡単に回避できると知っているが、そうしようとはしない/27 私たちは答えを知っている/28 行動に移そう /解説 齋藤圭介 /訳者あとがき 村井理子
◆書誌データ
書名 :射精責任
著者 :藤澤千春(太田出版・編集者)・齋藤圭介(岡山大学・解説者)
頁数 :216頁
刊行日:2023/7/21
出版社:太田出版
定価 :2200円(税込)
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画






