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2023年6月16日、第2回世田谷区議会定例会において、新人議員(女性)の質問中に年配の議員(男性)たちが不自然に大きな声でおしゃべりを始めるという出来事がありました。
これは、列国議会同盟(IPU)が類型する4つのハラスメント(※1)のうちの「心理的ハラスメント」に該当します。質問をしていた新人の議員を萎縮させ、自分の発言には価値がないものであると思わせる効果があるのです。
このように巧妙な抑圧が存在する場で、果たして、議員が区民のために有益な議論をすることは可能なのでしょうか?
さらには、同年4月の世田谷区議会議員選挙にて、女性候補者が街宣活動中に路上で強制わいせつを受けていたとの報道もありました。これは男が強制わいせつの容疑で現行犯逮捕されるという事件となりましたが、本件以外にも、女性候補者を標的としたいわゆる「投票ハラスメント(票ハラ)」が後をたたないのは内閣府の調査からも明らかです。(※2)
こうした事象について取り扱う条例が、今、世田谷区にはありません。あるのは、「世田谷区議会議員による職員に対するハラスメントに関する条例」のみ。
議員→職員のハラスメントに関するものにとどまっているのです。
以上のことから、私たち「議会ハラスメントをなくそう陳情アクション」は、次のことを世田谷区議会に要求します。
現在、世田谷区にある「世田谷区議会議員による職員に対するハラスメントに関する条例」を改正し、「議員による職員に対するハラスメント」のみではなく、

1)「議会において議員間で行われるハラスメント」

2)「有権者から議員や立候補者に対して行われるハラスメント」

の根絶及び防止を盛り込むこと。


すでに福岡県及び大阪府においては、「議員によるハラスメント又は議員若しくは議員となろうとする者に対するハラスメント」について条例での言及があります。世田谷区としてもこのような視点を新たに盛り込むことは、意義のある改正です。 また、わたしたち「議会ハラスメントをなくそう陳情アクション」が世田谷区議会議員を対象に行った匿名アンケート(2023年9月6〜9月19日)では、議員同士のハラスメントを実際に経験・ないし目撃したという次のような声もありました。

・選挙活動中に、街頭演説の場所取りをめぐって、現職議員から理不尽な理由で怒鳴られた。 /女性
・ベテラン男性議員に、すれ違うたびに「愛してるよ」と言われたり、お尻を触られたりした。20年以上前は「冗談」で済まされていたように思う。/女性
・議会質問を邪魔するような恫喝のヤジを飛ばす。/女性
・議員駐車場で、隠れていて突然現れたかと思ったら、無許可で写真を連写して逃げて行った。/女性
・多くの出席者のいる会議の開始直前に「お前は小間使いだ」と先輩議員から高圧的に言われた /男性
・女性だから個別に誘われる、女性だから会合に誘われないというのを実際に目にした/男性
・男性相手だと恐らく身体的に接触しない状況での、女性議員相手への身体的接触(を目撃した)/男性

加えて、有権者からのハラスメントも深刻であり、議員や議員候補者にとって大きな負担となっていることがわかりました。

・選挙前の政治活動期間中、街頭演説をしていると、見ず知らずの男性が私の死角に入り込み、許可なくスマホでツーショットの撮影をして、そのまま何も言わずに去っていった。別の日には、知らない人からMessengerを通じて、街頭演説中の写真が送られてきた(メッセージなど一切無し)。公人になると無許可で撮影され放題なのか、と恐怖を感じた。 /女性
・男性の支援者から「デートしたい」と言われた。/女性
・SNSで容姿・服装などについて自分や他人のことを悪く書かれたり性的な発言をされる/女性
・男が子育てのことをするなんて気持ち悪い、と高齢女性から言われた/男性
・女性議員が演説中に、中年男性から罵声を浴びせられる(私が介入するとすぐに逃げていく)/男性

議会におけるハラスメントは女性だけが被害にあうわけではなく、ジェンダーを問わず立場の弱い新人や、一人会派など、あらゆるマイノリティに関わる問題です。いかなる議員もわたしたち区民から思いを託された代弁者であるからこそ、身体的・心理的安全が保証されるべきです。
さらには、ハラスメントは世田谷区に限った問題ではありません。世田谷区での条例改正という前例を契機に、全国の議会にも波及していく可能性があると考えています。
ジェンダーギャップ指数146カ国中125位(※3)というこの国で、あらゆる議員の皆さんが公平に発言し、議論を行う議会環境を整えるためにも、ご賛同のほどよろしくお願い申し上げます。

出典:
(※1)Sexism, harassment and violence against women parliamentarians(2016年、IPU)より
https://www.ipu.org/resources/publications/issue-briefs/2016-10/sexism-harassment-and-violence-against-women-parliamentarians
(※2)「女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書」(令和3年3月)23ページ より
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/barrierr_r02.pdf
(※3)世界経済フォーラム(WEF)が2023年6月21日に発表したデータ。日本は特に政治参加分野の順位が低く、146カ国中138位で世界最低レベル。