こんなところに滞在しました

大学での仕事の傍ら、もう30年くらい前からドイツ語文学の翻訳をしています。翻訳はとても性に合うのか、いまだに楽しくてたまりません。
ドイツでは翻訳者向けのいろいろなセミナーがあり、そうしたものにも参加するうちに、ドイツ西部のシュトラーレンにある「ヨーロッパ翻訳者コレギウム」に行き着きました。
ここには世界中から来た翻訳者が滞在しており、それぞれのペースで仕事しています。しかも、ドイツの施設でありながら、ドイツ語とは関係ない翻訳をしている人も滞在できます。(ヘブライ語→英語とか、ロシア語→韓国語とか、フランス語→オランダ語など、いろんな人がいました。)
日本にはない場所だと思い、この場所について本を書きました。この施設の活動、そこで出会った翻訳者たちのエピソード、シュトラーレンという日本では全然知られていない町のことなどです。
ヨーロッパでは陸続きで多くの国が国境を接しているせいか、互いの言語や文化に対するリスペクトが見られます。(特に西側では。)EU域内では翻訳者や通訳者の育成が重要であり、大学でも翻訳学や通訳学がコースとして存在していたりします。
この施設の職員さんは大部分が女性で、滞在する翻訳者もどちらかといえば女性が多いようです。翻訳産業の課題や可能性について、考えるきっかけにもなればいいなと思っています。

◆書誌データ
書名 :世界中の翻訳者に愛される場所
著者 :松永美穂
頁数 :192頁
刊行日:2024/8/27
出版社:青土社
定価 :2200円(税込)

世界中の翻訳者に愛される場所

著者:松永美穂

青土社( 2024/08/27 )