
<てるてる Reading Circleとは?>
2012 年に女性学(「女性の女性のための女性による学問」)の第一人者である故井上輝子先生が和光大学を定年退職後「木曜研究会 」をスタート。2014年度に「GF読書会」と名称変更し、WANサイトの女性学講座コーナーに半期ごとの活動報告を掲載。2021年に井上先生が逝去された後は「てるてるReading Circle」として、オンラインで活動中。メンバーはさまざまなバックグラウンドの 30 ~ 70 代の女性たち。現在新メンバーを募集中。ご連絡はこちらまで:teruterurc@gmail.com
<書籍紹介>
鮮やかな黄色の中にシルバーの「家族終了__」の文字。帯には「日本女性史100年を辿った酒井順子が平成最後に問いかける18章」等々の文字。中表紙はグレー一色に白抜きで「家族終了」。何やら穏やかではない雰囲気のタイトルと表紙ですが…。
自分が生まれ育った家族のことを「生育家族」、結婚などすることによってつくった家族を「創設家族」というそうです。酒井さんは30代の時に父、40代の時に母、その後兄が他界、と生育家族のメンバーが自分以外すべて世を去り、同居人(男)はいるものの、婚姻関係は結んでいないし子供もいないので「家族終了」、なのだそうです。
『だからこそ今、家族というものを改めて考えてみようと思うのでした。私にとって家族とは何だったのか。この時代の日本において、家族はどのように機能しているのか。・・・家族終了の鐘が鳴り響く中で、家族がいないからこそ書くことができることが、あるのかもしれません。』と、酒井さんの祖父母世代である明治・大正期、父母世代の昭和期、自身が過ごした平成期の家族の姿を、「嫁というトランスフォーマー」、「修行としての家族旅行」など、酒井さん節をブイブイうならせて(個人の見解です)分析されています。
そして、『国はいつも国の状況(都合?)に合致させるべく「おすすめの家族像」を用意してきた。おすすめの枠の中にいる人たちと、そのおすすめ枠から逸脱する人との間に、分断も発生しているけれど、家族の多様化が進んで、従来の法律婚した男女も多々ある家族パターンの中の一つとなっていく方が、多くの人にとってより生きやすい世なのではないか』と、この先の日本の家族のあり様に思いを馳せてらっしゃいます。
酒井順子さんと同世代の我が身を振り返ると、「おすすめの家族像」に便乗し、キツい枠ではあってもお得な制度があれば乗らなきゃ損、とばかりに打算に次ぐ打算の人生を歩んできた感強し…。これから家族を形成しようと思う世代には、多様で、打算の必要なしにムリなく幸福度高めに過ごすことができるようになってほしいと思います。どうしたら従来型の枠の人も、その枠から出ている人も、攻撃しあう事なく共存していけるのかしら、と考えさせられる本なのでした。
<読書会を終えて>
この回は「担当者なし・レジュメなし」で、ざっくばらんに気になったことをおしゃべりしましょう、ということで、自分が興味を持った点について語り合いました。「家族のこと」となると、全員次から次へと話したいことがあふれてくるようでした。女に歴史あり、です。親、配偶者、子、配偶者の親、子の配偶者、墓、家、家庭科の授業…、考えること、言いたいことがいっぱいでした。そして個人的な事だと思っていたことは、実は社会的なこと、社会に仕組まれたことだったのだ、と、たくさん気づかせてもらいました。ありがとう!「家族終了」(本)に幸あれ!酒井順子さんに幸あれ!てるてるReading Circleに幸あれ!(なんじゃこりゃ…)
◆書誌データ
書名 :家族終了
著者 :酒井順子
頁数 :272頁
刊行日:2019/3/26
出版社:集英社
定価 :1,100円(税込)
慰安婦
貧困・福祉
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