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『正義・ジェンダー・家族』 スーザン・オーキン

2013.08.19 Mon

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どうでしょうか。政治哲学は「社会全体」の正義について問うてきました。しかし実際には「正義」の理論家が考えてきた社会とは、女性を無視した「男性」だけの社会にすぎなかったのです。

本書で著者オーキンは、この政治哲学における「女性の無視」と「家父長制的前提」を、徹底的に暴いています。ではなぜ彼らは、正義について問いながら、女性を無視することができたのでしょうか。それは政治哲学が、公的領域=政治的、私的領域=非政治的という公私二元論を前提にすることで、家族内の不平等を非政治的なこととして無視できたからです。さらには公的領域の「人間(男性)」が、女性のケア・再生産労働に依存していることをも無視してきたのです。オーキンの議論は、フェミニストによる公私二元論への核心的な批判として、重要な仕事といえるでしょう。

本書は政治哲学に興味のない方にも、ジェンダー社会理論としてぜひ読んでいただきたいです。オーキンいわく、結婚における経済的依存と性別分業によって、女性は家庭内の意思決定において弱い立場に置かれ、職場においても、高い地位や責任ある立場に立つことができず、さらにはその職場の不平等によって,家庭内の権力関係や性別分業が強化される.オーキンは実証的なデータを用いて、このような「悪循環」の構造がいかに不正義であるかを、女性の「脆弱性」という概念で論証してみせています。

この「悪循環」の議論で思い出すのが、家父長制的資本制が、家庭と市場を含む社会生活において女性を抑圧しているとしたナタリー・ソコロフの「家庭と市場の弁証法的関係」論です。一方では政治哲学の系譜から、他方ではマルクス主義の用語を用いて、フェミニストが同様の現象を言語化しようとしてきたことは理論史的に興味深い点です。(訳者 山根純佳)








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タグ: / フェミニズム / ケア、正義、フェミニズム / スーザン・オーキン