2013.06.16 Sun
街の、アマチュアアーティストが出演する、小さなコンサートに出掛けました。
前半では、幼い女の子とおばあさんによるピアノの連弾がありました。
後半は、中学生による、童謡などのコーラス。
澄み渡る歌声は、会場の空気も、観客の心も瞬時に洗い清めてくれるようです。
森山直太朗さんの名曲「さくら」を歌い上げる合唱隊の歌声に耳を澄ませていた時に、私の隣に座っていた年配の女性が、低く囁くように、一緒に歌い始めました。
真っ直ぐ上に上に、高く響く中学生の声とはまるで対照的な、低くハスキーな、味わい深い歌声。
この奇蹟的なハーモニーが、続けて震災復興ソング「花は咲く」を奏でます。
同じ歌、同じ歌詞が、重層的に、それぞれの物語を紡いでいくようです。
歌というものが露わにさせる、人生の、命の本質を垣間見た、と感じました。
私が映画の中で描くやまんばも、歌います。
歌うというよりも、唸ることで意思表示や感情表現をします。
文明社会の中にいる人間から見たら、やまんばは理解し難く恐ろしい存在に映るでしょう。
一方、やまんばを取り巻く子供たちは、感情のままに遊んだり躍ったりします。
やまんばの情念と、やまんばの子供たちの無邪気な心、そして人里に住む子供の抱える閉塞感。
それぞれの魂の奏でる歌声が、今日、私が体感した偶発的なハーモニーのように、超越的な深み、味わい、複雑さ、説得力を帯びてくれることを願います。
(文: 間谷 純)
タグ:映画「やまんば」制作日誌
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