第44回 WAN上野ゼミ 当事者研究中間報告を下記の通り開催します。
◆日時: 6月28日(金) 18時30分~20時30分
◆場所:三鷹市女性交流室 三鷹市中央通りタウンプラザ4階
〒181-0014 東京都三鷹市1 下連雀三丁目30番12号 電話:0422-45-1151
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/003/003642.html
◆申し込み:締め切りました。
◆コメンテイター:上野千鶴子
◆三浦由佳:琉球大学大学院医学部保健学研究科 博士前期課程2年
テーマ:児童相談所一時保護所に勤務する看護師の専門的役割とはなにか?
厚生労働省の統計によると、平成28年度の児童相談所に寄せられた虐待対応件数は、122,757件で過去最高となっている。報道においても、児童虐待による児童の死亡事例が多発しており、児童相談所の役割はますます重要となっている。
しかし、児童相談所が注目される一方で、併設されている一時保護所については、あまり知られていない。一時保護所とは、児童虐待に発生している家庭などにおいて、子どもの安全が危ういとされる場合や、貧困家庭において、一時的に親子分離せざるを得ないと判断した場合に、児童相談所所長の判断で、子どもを親元や養育者から引き離し一時的に保護する施設のことである。
全国に、一時保護所は136か所ある。一時保護されている子供たちは、虐待やネグレクト、発達障がいなど子ども自身に問題を持つなど、さまざまな医療ニーズを抱えている。その要因として、家庭において、定期的にかかりつけ医に受診して身体疾患の治療を継続することが困難であることが1つの要因である。このような子どもたちの一時保護後の医療ニーズは高く、そのニーズに対応するために、一時保護所に看護師を配置している自治体が増加している。現在、全国の一時保護所136か所中、都道府県で15か所中43人、政令指定都市の一時保護所では12か所に18名の看護師が配置されている。
現在、一時保護所の看護師の役割については、先行研究がなく、その実態は未解明な部分が多い。そこで本研究は、児童相談所一時保護所の看護師の専門的役割とは何か、医療機関の看護業務比較し、どのような知識や対応が求められるのかを明らかにすることを目的とし、方法として、全国の一時保護所61名に対し郵送にて、研究協力の依頼を行い、研究協力に同意した10名に対し、インタビューガイドを用いた半構成面接を実施し、質的記述的分析を行う。
2019年6月現在、全国10か所10名の看護師に対して、インタビューが完了し、インタビュー内容の逐語録を作成中である。今回は、すでに完了している逐語録から、インタビューガイドの項目のなかで、共通すると思われる回答と、前回のゼミでアドバイスがあった、「他職種との差異化」に関連すると思われる内容を、一時保護所の看護師がどのように語るのかについて報告したいと思う。
◆赤池紀子:早稲田大学大学院(教育学専攻)修士課程在学中
テーマ:「子どもの不登校を経験した親の「葛藤」と「内的変容」——2001年以降に注目して」
<概要>不登校の子どもは増え続けている。1992年以降、「どの子にも起こりうる」、2016年には「不登校を問題行動と判断してはならない」という認識が示されたほか、同年には教育機会確保法が成立し、学校復帰を前提としていた従来の不登校対策が転換され、家庭や学校でもかつてより過度の登校刺激は減少し、親当事者の負担や不安は軽くなったと想定できる。しかし、2006(平成18)年の教育基本法改正で「家庭教育」が独立規定として新設され、子育ての家庭責任論はかつてよりも増し、さらに、父親の子育てが促進されながら性別役割規範は従来とさして変化していないのではないか。本研究では、近年、わが子の不登校を経験した親当事者の「葛藤」の形成過程と具体的な中身を性別役割規範に着目して描き出し、先行研究などをもとに2000年代以前の親の葛藤と苦悩を比較検討しながら、変化の有無と新たに出現したものを明らかにすることを目指したい。
◆猪股祐介:社会理論・動態研究所研究員、歴史社会学専攻
テーマ:『満洲移民』の『再定着』をめぐる『当事者』たちの困難を中心に:A開拓団を事例として
<概要>今回の論文のバージョンアップの要点は、満洲移民体験の語り継ぎの比較社会学をテーマとし、いまなお満洲移民体験の語り継ぎに積極的な4つの旧「満洲開拓団」を事例として、それぞれの語り継ぎの主体の違いにより、語りにどのような違いが生じているかを、具体的な事例に即して論じること。
◆てるくん:「子どもの放課後」研究・実践者
前回の発表では、子どもの豊かで安全な放課後の居場所(サードプレイス)を作ることは、そのケア責任を負うとされる親の居場所を作ることにつながることを提示してきた。今回の発表では本研究のサブテーマである「不登校当事者研究」の発展的試みという所に焦点を当て「当事者がポストに就く」ことの社会的意義を提示したい。
◆永野眞理:wan上野ゼミ
テーマ:「パート労働とアイデンティティ -自分史的アプローチ-」
<概要>今回はさらに、パート労働(仕事)によってアイデンティティを獲得していく自分が、外から見ていかに変化したのかを身近な人の証言から検証したい。また、非正規内階層についても言及したい。
◆懇親会
・ワンドリンク付きで3,000円程度。キャンセルは三日前まで、それ以降は不可。
三鷹南口トレタテキッチン3号店
https://tabelog.com/tokyo/A1320/A132002/13227170/
2019.06.05 Wed