「WAN基金コロナ禍対策女性連帯プロジェクト」では、2020年7月15日、助成第9号として 労働組合千葉県なのはなユニオンに、助成金を振り込みました。

なのはなユニオンは1988年3月に結成した労働組合です。結成当初より27年間、正社員、パート、派遣、契約社員などの個別相談をうけて、問題解決にむけて、一緒に取り組んでこられました。

現在は、コロナ禍で解雇、賃金減に直面する非正規労働者・女性労働者の生活と雇用を守る活動を重点的にされておられます。

以下、事例を少し紹介します。

①もともと低賃金で働く非正規労働者・女性労働者の生活は、コロナ禍で一気に悪化し、生活そのものが危機に陥っており、コロナ禍でも生活の保障をせよと、要求しました。
[事例1] ディズニィ・リゾートがコロナ感染対策のために2月29日に閉園になった際、ユニオンには、株式会社オリエンタルランド(以下「OLC」という)で働くキャスト(パート・アルバイト。多くは女性)たちから、休業補償について具体的な話が会社からない、このままでは生活できない、部屋代も払えない、という声が寄せられました。
ユニオンは3月19日に、OLCに休業補償の10割を求めて要請行動に取組みました。会社は、労働基準法26条で定められている平均賃金6割を休業補償とすると回答してきました。しかし、2万人の従業員中8割を占めるキャストの時給は最低賃金ギリギリの1000~1200円です。労働基準法をクリアしたとしても、平均賃金6割では5万~7万円です。また、正社員の休業補償は10割、キャストは6割という格差も納得できないと、4月9日に2回目の要請行動に取組みました。4月15日、会社は「8割補償」を提示しました。格差2割は残りましたが、8月末まで8割補償するとなりました。

②コロナ禍での休業補償格差「正社員男性は休業補償6割、パート・女性は休業補償なし」は許せないとして組合を結成し、交渉で「パート・女性休業補償10割」を勝ちとりました。
[事例2]仕出し屋の老舗、正直屋の千葉事業所は、4月に入ってコロナ禍で注文が減少したことを理由に休業を宣言。正社員男性には6割の休業補償をすると言ったが、従業員の8割を占めるパート・女性には休業補償なし。フルタイムで、勤続も30年を筆頭に多くが10年以上の女性たちは、会社の扱いに怒って、正社員男性3名と一緒に25名でユニオンを結成。会社は1回目の交渉で、パートの休業補償は何も考えてなかったことを露呈。2回目の交渉では、「正社員と同列で6割」と回答。女性たちは、休業時に同列6割と言ってくれれば納得したのに、交渉したら同列だからと言われることは納得いかない、6割では生活できない、と会社を追求。3回目の交渉で、休業宣言をした日に遡って10割補償すると会社は回答。ただし、新たに事業所閉鎖、パート全員解雇を通告してきたので、慰労金なしでは辞められないと交渉継続中。

③コロナ禍で、非正規労働者・女性労働者の契約更新不履行、内定取り消しの不安などの相談を受けています。
[事例4]OLCで3年勤続のキャストAさん(女性)は3月末の契約更新についての面談を2月末に予定していたが、2月29日にOLCが休園になり、面談が延期になりました。その後、会社より面談の連絡がないまま、4月20日に「退職手続き」の書面が郵送されてきました。Aさんは会社に電話したら、3月末に契約切れとなったと言われ、雇用継続をお願いしたが、募集をかけた時に再応募して下さいと言われた。Aさんから「再応募の時、再雇用されるかどうかわからないまま待つことは不安である。働き続けたい。」との相談がありました。会社に「面談が延期となり、再面談の連絡がないままでの退職には応じられない。」と、書面で提出するようアドバイスしました。

[事例5]OLCに2月に内定、3月21日に入社予定だったので、内定後に会社に許可を得て、浦安に引っ越し。7月15日まで入社延期との通知に、「初期契約期間中にコロナ以前の全面的な運営ができなければ、契約更新ができない可能性が高い。」との記載があり、このまま内定取り消しになるのか不安なので、どうしたらよいかとの相談がありました。

④まだまだ続くコロナ禍。非正規労働者・女性労働者が安心・安全に働ける労働環境を求める交渉、行動にも取り組みました。
[事例6]菓子製造会社のラインでケーキの包装作業をしているパート女性は、毎年、一人春闘を重ねてきました。今年は特にコロナ感染対策を軸に、7月2日春闘交渉に取り組み、会社は5月25日作成の「工場勤務における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を提示し、説明しました。

[事例7]OLCは7月1日にディズニーリゾートを再開。再開にあたり、●マスクをつけての炎天下業務は熱中症の危惧あり(毎年、熱中症で倒れている)なので、炎天下業務時間の短時間化、●出演者の三密の楽屋の改善、●出演者の衣装の消毒、などなど6月25日に会社に要請書を提出。6月26日、OLC株主総会の開催にあたり、株主にキャストに対する再開後の安全対策を訴えました。7月15日、交渉にて、休業補償の2割格差、コロナ対策の徹底について話し合う予定。

このような活動に対して、WAN基金運営委員会は敬意をもって助成を決定し、迅速に助成金交付を行いました。

WAN基金では、寄付が集まり次第、次々にこのような「しんどい女性を支援する」女性活動団体に対して、 助成を進めていきます。

コロナ禍で苦しむ女性たちへの支援のため、ご寄付のほうもよろしくお願いします。 ご寄付に関してはこちらからどうぞ