東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)による女性蔑視発言と謝罪会見をめぐり、女性たちから異議申し立てが次々に起こっています。

2月4日にはいち早く日本スポーツとジェンダー学会執行部から声明が。
日本スポーツとジェンダー学会執行部
森喜朗・公益財団法⼈東京オリンピック・パラリンピック競技⼤会組織委員会会⻑の発⾔に関する緊急声明
 発出

福田和子さん、山本和奈、さんら「森会長の処遇の検討を求める有志」は オンライン署名サイト「Change.org」で署名活動を始めています。
2月6日16時現在で11万人以上の署名が集まっています。
女性蔑視発言「女性入る会議は時間かかる」森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます #ジェンダー平等をレガシーに

上記の署名で求めているのは以下の通りです。
日本政府(菅義偉首相、橋本聖子大臣) 東京都(小池百合子知事) 日本オリンピック委員会(山下泰裕会長) 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(森喜朗会長)に求めます。

1森会長の処遇の検討
「女性」を一括りにして会議のあり方について述べることは明確な偏見です。また同じような状況に置かれている女性を始めとしたさまざまな立場の方をも萎縮させる可能性があります。これは、「すべての個人はいかなる種類の差別も受けることない」というオリンピックやパラリンピックの精神にも反しています。
森会長は、自身の発言を謝罪・撤回されましたが、真に「差別」だと指摘されている原因を理解している・理解しようとしているようには見えず、このような偏見を持つ方が会長職を継続するのは不適切ではないでしょうか。よって会長就任に合意した3者(JOC・東京都・日本政府)および組織委員会に処遇の検討を求めます。

2再発防止策の実施
JOC、大会組織委員会、には、今後、こういった発言が繰り返されないため、また一刻でも早く「ジェンダー平等」が実現した団体になるために、「差別発言に対するゼロトレランスポリシー(一切寛容しないことを示す)」などの指針を通した具体的な再発防止策の実施を求めます。

3女性理事の割合4割達成
JOCはスポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針「ガバナンスコード」に沿い、全理事のうち女性の割合を40%以上にすることを目標としています。東京オリンピック・パラリンピックに関わるすべての組織における女性理事の割合の最低4割の達成を求めます。また、組織の管理職のダイバーシティの推進を求めます。

男性たちがよびかけにんになっての署名活動も始まっています。
女性蔑視発言をした森喜朗氏の辞任と、男性社会の見直しを求めます

何が起こっているのか知らないという方は、下記の記事からどうぞ。
【徹底解説】森喜朗氏の「わきまえている女性」発言、問題点はここだ

この記事では、中村かさねさんにより、発言の問題性として以下の点が指摘されています。
一つは、女性差別的な発言を大会のトップ自らがオフィシャルな場でしたこと。そしてこの発言を誰も咎めなかったことだ。言わずと知れた問題だが、性差別はオリンピック憲章にも違反していること
二つ目は、「会議が長い」「わきまえている」発言に、異論を許さない上下関係への意識が隠されているという点

WANのシンポにもご登壇いただいた小川たまかさんは以下のように言っています。
森喜朗さんの逆ギレ会見がなぜ許されるのか

 森喜朗さん(東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会長)の「謝罪」会見を見て、つくづく羨ましいと思った。
(中略)
 私が羨ましいと感じるのは、森さんがこのような逆ギレ会見をぶち上げたところで、「男は感情的」とは言われないことだ。
 「男の話は要領を得ない」とも「男はすぐ逆ギレする」とも「男はまともに質問に答えられない」とも「男は都合の悪いことを聞かれると逃げる」とも「男は記者を威嚇する」とも「男は反省しない」とも「男は偉そうだ」とも言われない。
 もしこれが女の政治家や経営者なら「これだから女はダメだ」と言う人が必ず現れる。そのようにして、女が居づらい場所が無数につくられてきた。政治の場だけではなく、いくつもの組織の中で。
(中略)
 意思決定権の場に女性がいないことを、「女性の能力が低いからだ」と考えられる短慮な人が羨ましい。
 「女は感情的」「女の話は論理的ではない」「女の話は長い」といった、根拠レスな偏見は世の中にあふれている。そもそもが根拠レスな偏見なのに、反論にはエビデンスや説明が求められる。どうしたって「男性側」の声のほうが大きい。萎縮しない女性の方が稀だと思う。感情的だと思われないよう、論理的ではないと思われないよう、無駄に話が長いと思われないように気を使う。  そのような心理を知らずとも、日本では首相経験者になれる。彼を守る壁が強固だからだ。
 守っているのは誰なのか。女性が組織の中で能力を発揮しづらい環境要因を自分たちでつくっておきながら、女性の社会進出が進まないのは女性の責任だと思っている人は、森さんだけではないはずだ。

ちなみにtwitter上ではヨーロッパ大使館の方々から女性たちへの激励?のアクションも起こっています。
EUの駐日大使館 ハッシュタグ「DontBeSilent」で男女平等訴える
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言を受け、駐日欧州連合代表部やEU加盟国の駐日大使館は5日、ツイートにハッシュタグ「#DontBeSilent」(沈黙しないで)や「#GenderEquality」(男女平等)を付けて男女平等を訴えました。

WANでは女性たちの怒りの声をしっかり記録しておきたいと思います。