沖縄県内の若年の妊娠、出産率は全国の2倍であることを、このリングキャンペーンを通して痛感させられたというのが率直な感想です。さかのぼること1年前、コロナ禍で世界が目に見えないウイルスにおびえていた時、10代の女性からの相談でした。「生理がこない。妊娠している。中絶をしたいが分割で支払える病院を紹介してほしい」との内容でした。病院に掛け合いましたが手術をする場合、事前に支払いを済ませてからでは行えないとの回答でした。この女性既に結婚をしており、子育て中の方でした。夫婦ともまだ若く経済的余裕もなかったため、どうすることもできない状況ではありましたが、どうにかお金を工面し中絶手術をおこなえましたが、この若い夫婦にとってはこれで終わったわけではなく、今後も夫婦生活は続くとなると、再び望まない妊娠を避けるべきであるのは重々承知しているはずです。それで、彼女にリングを挿入することを提案しました。その後、無事リングを挿入してからはこれからの希望を話してくれました。
「まだまだやりたいことがいっぱいあるけど、早くに子育てしているから、これから働きながらやっていきます。」と、まだ幼さを感じる10代の母親ははじめて笑顔をみせたのでした。
それが、きっかけとなりWAN基金助成金を活用し、「リングキャンペーン」をスタートしました。誰もがやったことがない活動に当初不安は感じつつも、沖縄県内の全市町村、関係機関等に案内文を送付してからは電話での問い合わせでは驚かれながらも、月日を経過していくと共にあちらこちらの産院からの問い合わせも増えていき、徐々に周知されていくのを実感しました。当初、若年を対象にと考えていましたが、相談内容の女性の年齢は20代、30代、40代と妊娠と出産を繰り返している女性が多く、年齢の対象もすぐに取っ払う形となったのでした。若年での出産も体に負担となることを医者から言われ利用に繋がった内容が最も多く、その中でも沖縄県の若年の妊娠、出産がずっと前からあるということが、ここでもわかったのでした。望まない妊娠、出産を繰り返し、困窮しながら子育てをしている世帯も多く、養育難の家庭に限っては、子どもが児童相談所に関わっているケースも何件かありました。また、パートナーに避妊リングを挿入することを知られたら浮気を疑われるからやらない。といった支援側もどうにもならない内容もありました。どれも沖縄県内でおこっている現状でした。
令和3年3月、県内の新聞社に私たち法人の活動が取り上げられ、掲載された朝から、電話、メールの問い合わせが殺到。猫の手も借りたい勢いでした。
職員3名での対応と、普段の業務に何一つ手がつけられないといった状況で、ただただリングキャンペーンだけの問い合わせが数日も続く勢い。こんなにも反響があるとは想像もできなかった私たちだったのです。
大学生と思われる若い女性からは、ただ、避妊のためにという内容もあれば、泣きながら中絶手術を予定しているという女性。夫が避妊に協力してくれないといった幅広い内容の問い合わせ。経路を説明してからは、地域の保健師からの問い合わせといった目まぐるしい勢いは収まることもなく、週末を迎え、へとへとになった時、県内の別の新聞社からの取材の際には、活動内容の掲載と、リングキャンペーンは既に休止といった内容の紙面で打ち出してもらう運びとなったのでした。WAN基金の助成金でリングキャンペーンを始めることができ、24名の女性にリングを挿入することができました。そのおかげで、その女性たちは生活を立て直す機会をいただきました。きっと希望をいただいたと言っても過言ではありません。それくらいの機会を与えていただきましたWAN基金運営委員会の皆さまに心から感謝いたします。今後も寄付等を募りながら活動を続けていきたいと思います。総合計の内容に人件費等は一切含まれておりません。全て活動に使わせていただきました。ありがとうございました。
2021.10.03 Sun
タグ:貧困・福祉 / 沖縄 / リプロダクティブ・ライツ
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