お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

キャリア

相談3「民間人として日本の社会に女性の声を反映させたいと思うのですが・・・」

2011.09.21 Wed

3月に大学を卒業したばかりですが、卒業論文を書く際、フランスと日本におけるフェミニズム運動とその歴史や現状について調べました。その際、日本の国会における女性議員の比率が先進国の中で極端に少なく、日本の社会の仕組みに女性の声が反映されていないことを知り、同時に国連が日本政府に現状を回復するよう何度も呼びかけているにもかかわらず、日本政府はそのままにしており今後も改善することはないであろうことを知りました。
それ以来どうしてもそのことが頭から離れず、将来の日本女性のためにも政治家などではなく民間人として現状を回復し、日本社会に女性の声を反映させるために自分にできることを考えておりますが、どうすればいいのかわからず、また周りに相談する方がおらず困っております。正直いってこれからの人生は自分のすべてをそれにかけてまでなんとかしたいという強い気持ちはあります。何かアドバイスをいただければ大変助かります。

回答

相談3回答

実は、あなたのような質問をお寄せになる方は近頃かなり多いのです。私は「女性労働協会」という女性の就業支援や母性健康管理を主な事業内容としている財団法人の専務理事をしているのですが、こちらの財団にもしばしば求人のお問い合わせを頂くことがあります。ですから「これからの人生は自分のすべてをそれにかけてまでなんとかしたい」とおっしゃるあなたのお気持ちもよくわかります。
ただ、個人のキャリア開発という視点で考えると、新卒でいきなり女性支援に特化した組織で働くことは、必ずしもお勧めしません。というのも、あなたが今後この分野にこだわって仕事をしていきたいとお考えであればなおさら、「まず一般の日本の会社(もしくは組織)で働いてみる」という経験があった方が後の仕事に幅と深みがでると思うからです。現在、多くの会社や組織は「男性中心」の論理で回っています。そこで理不尽だと思う経験をするかもしれませんし、場合によっては予想外に良い上司に巡り会って学ぶことが多々あるかもしれません。いずれにせよ、まずは「普通の就職」をしてみてはいかがでしょうか? そして、そこでの仕事を通じて社会経験を積むと共に、余暇を使って女性支援に関連した活動を続け、さらには将来に向けて着実な貯蓄も心がけてください。というのも、もしあなたが本当に女性支援に関する仕事をしたいという気持ちを貫こうとしたら、次の仕事はNPOをはじめとする非営利組織となる可能性もあるので、その場合収入ダウンも予測されるからです。
あなたがひとり暮らしで経済的に自活する必要がある場合は、副業(例えば翻訳など)も必要になってくるかもしれません。しかし、一時的には収入が減ったとしても、仕事のやりがいには替えられないものがあるかと思いますし、おそらくは40代に入る頃にはキャリアを確立できるのではないかと思います。「えっ、やりたい仕事で生活ができるまで20年近くもかかるの?!」とゲッソリされたかもしれませんが、「まず定職(これは必ずしも「正社員」とは限りません)に就き、社会経験の獲得と貯蓄に励み、20代後半~30代で自分の目指す領域に転職し、専門性と人脈を育て、30代半ば以降から本格的に自分の専門領域を確立する」という大まかなタイムスケジュールを考えてみてはいかがでしょうか。今のあなたには時間はたっぷりあります。焦らずに少しずつ、着実に前進していってくださいね。

回答者プロフィール

福沢恵子

現在は担当しておられません。

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