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お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談60:小1の娘の質問に、どのように対応したら良いでしょうか

2016.11.16 Wed

こんにちは。小学校1年生の娘をもつ40代の主婦です。娘の質問に対して、どのように対応すればよいのか分からず悩んでおります。

娘と私は隣同士で寝ているのですが、ある日、寝ていると娘が私に質問してきました。それは、「私、男の子に生まれればよかった。だって女の人は20歳くらいで殺されるんでしょ?私は殺されるのは嫌だ。どうすればよいの?」というものです。

意味が分からず、いくつか質問をしてみると、どうやらテレビなどで頻繁に流れるストーカー殺人事件について怖がっているようなのです。最初は、インパクトの強かったニュースを思い出しているだけだろうと、深く考えず、「そうはならない。変な男の人には近づかないように」などと受け流していました。しかし、その後も定期的に「殺されたくない。どうすれば殺されないで済むの?」と同じ内容で伝えてきます。

ストーカー事件の理不尽さや、被害者側が逃げ切れず一方的に被害にあってしまう現状を知るにつけ、娘を持つ身としては心を痛めています。こちら側に非がなくても、一方的に好意を持たれたらそれでおしまいです。

子どもには、安心して毎日を過ごしてほしいと願っていますが、6歳の娘にどのような事を伝えれば良いのか分かりません。アドバイスを頂けたら助かります。(匿名、40代)

回答

回答 60:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

それはご心配でしょうね。娘さんの、女であれば自分も殺されると思いだした契機はストーカー殺人事件ですか?契機の特定にこだわっているのではありませんが、6歳で事件をそれなりに理解し、自分に結び付けていることに少々驚いたからです。

ところで、この「女であれば・・・」は切ないところですね。というか女性への暴力がまかり通っている現実に、ましてそれが6歳の女の子にはやばやと影響を与えるなんて、怒りを感じずにはおられません。

それはともかく、娘さんが人には生死のあることに目覚め、ふと自分も死ぬ(殺される)のではと怖がっているということが重要でしょうね。そこで、「大丈夫、殺されないよ」とか「心配しないで」などという紋切り型の返答を容易におっしゃらないことが肝心でしょう。これは娘さんにとって十分な慰めにも安堵にもならないでしょうから。

ちなみに私は中1で見た沖縄戦の映画『ひめゆりの塔』にひどくショックを受け、母親に、彼女たち(当時の私と同世代)はなぜ死ななければならなかったのかと聞いたら、無教養な母に、そんなこと考える暇があれば勉強の一つもしなさい、と返され、「この親はアカン」(笑い)と思った私自身の体験があります。

願わくば、ただ、娘さんに不安や恐怖を十分に表現してもらうことでしょうか。幼いから言葉は足りないでしょうけれど、そこは補ってあげつつ、幾度でも付き合ってあげてください。「そうだねえ、怖いよね」とか「わかる、わかる」などと。理屈では分かってもらえそうもないことは、相手の気持ちを受け止めてあげるだけでも、助けの一部になるかもしれません。娘さんの健やかな成長を、私も願っています。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。

タグ:DV・性暴力・ハラスメント / 子育て・教育 / 河野貴代美

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