お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談15 子持ちの友人から離婚の相談。助けになりたいけれど、おひとり様で母子家庭育ちの私には難しい・・・

2011.08.05 Fri

25歳の同じ年の友人のことで相談します。
幼友達のAは、結婚していて生まれて6ヶ月の子どもが一人います。つきあって一年余りで子どもができて結婚したという経緯もあり、夫のことは好きでもなく嫌いでもなく、ただ、稼いできてくれたらよいだけのようです。夫は離婚歴があり、前妻へ
の支払いが残っていて二人はAの実家に同居しています。ただ、最近までフリーターだった夫が、子どもができてから安定た仕事についたので今年中に実家を出ていく予定だそうです。
そんなAが、「離婚したいけれど、離婚をしてもいいものか」と言い出しました。私自身は、夫とのこんな関係なら自分で働いて子どもを育てたいと思いますが、私は独身OLで子どももいないし、母子家庭で育ったので相談されてもよく分かりません。Aも母子家庭で育っており、そのせいか幼い時から気が合い、Aが高校を辞めてしまった後もずっと友だちとしてつきあってきたのでAのことはとても気になります。
それ以上に、母子家庭で子どもを育てることがどんなに大変かを私自身がよく知っていますので、子どものことが気になってしまいます。Aは子どもをおいて遊びに出かけることもあるようで、それを母親から注意されると「母は自分が母子家庭で子どもを育てて苦労してきたので、私が自由にしていると腹立たしいんだと思う」と言うような人なので、とても一人で子どもを育てられるようには思えません。子どもはとても可愛がっていますが、いささかペット的と思わなくもありません。
私はとても言える立場ではありませんが、子どもをちゃんと育てて欲しいと願わずにおれません。Aには働く気がないわけではないのですが、高校中退で現実には難しいことも多くて、どこか投げやりな気持ちがあります。Aに養育の自信がないなら今の夫ときちっと共同生活をしていく道を早く決める、或いは、離婚して夫からの養育費が必要であったとしても、夫を利用するような気持ちではなく自分で生きる気持ちを持って欲しいと思います。Aには母親として自信をもち活き活きと子どもを育てて欲しいのですが、そのためにはどのようにアドバイスをすればよいのか教えて下さい。
(大阪・25歳・女性)

回答

相談15 回答

あなたご自身はどうしてあげられるかおわかりにならないのですね。だから誰か(たとえばこの私)に、あなたには思いつかないような魔術的助言があるのではないか、と期待される?
前回の回答でも申しあげましたが、そんなものは少なくとも私にはないのです。かりにあっても、助言が魔術的であればあるほど、助言者というあなたの実態からはなれ、「そんなことは言えません」となるに違いないのです。魔術的ではないとして、では、「離婚したら」と言えます?「離婚しても経済的に自立するのは大変だからしないで、子どもだけちゃんと育てたら?」と言えます? 私であっても言えません。
理由はこのような助言に彼女が納得しないだろうと思えるからです。それにもまして、助言は彼女の人生の重大決定に関わることですね。誰にも簡単には言えないことなのです。
では、どうすればいいか。ご本人が安易に相談などしないで、徹底的に悩み苦しみながら結論を出すしかない、と私は思います。
私ならこれは彼女に言えますね。冷たいですか?そうでしょうね。でもここは大事なところ。つまり相手が親友であろうと、知人であろうと、人にはできることとできないことがあります。何か頼まれたり相談されたときには私はまず、自分にできるかできないかを考え、後者の場合にはそれを率直に伝えます。
できるかできないかの境界を自覚しないで自己幻想に陥っているよりは、相手に対して誠実だと私には思われます。冷たいと思われるのではないかという懸念に振り回されないことも、誠実の一つであろうと思いますし、このような態度はあなたに人間的な深さを育成させるのではないでしょうか。全く期待はずれの、ご自分に戻った回答になりました。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。

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