こころ
相談42「親しい友人が自殺未遂をしました」
2013.12.03 Tue
親しい友人が自殺未遂をしました。
友人を支えきれなかったことに対する自責の念、
それとともに「どうしてそんなことをしたの?」という悲しさと
怒りで私自身心が壊れてしまうのではないかというほど悩みました。
一命をとりとめ、以前のように親しく付き合っていますが、ふと
「こんな風に元気にしていても、またこの前のように自殺未遂してしまうんじゃないか」と
不安な気持ちがよぎることがあります。
身近で自殺未遂が起こるなんて初めての経験でしたので
私にとっても本当に衝撃的な出来事だったんです。
この友人と今後どのように付き合っていけばいいのでしょうか?
とりとめのない文章ですみません。
(明美、八王子市、30代、会社員)
回答
回答42
明美さま
それはさぞかし、ご心痛なことでしょう。
いまはお元気になられているようで、よかったですね。
それにしても、まったく以前と同じく付き合っておられるご様子、
ふと「そうなの?」と思わなくもありませんけれど。
この私の「ふと思っていること」があなたの懸念と、
中身は違うもののかぶさっているのかしら。
で、ちょっと視点がずれますが、考えてみましょう。
親友の関係って、なかなかむつかしい関係なのですね。
図式的にいうと、親友とはギヴ&テイクがほぼバランスよくないとそうよべません。
たとえばAさんがBさんに何でも打ち明け、助言を求め、
家にきて○○ないの?とか全く遠慮なくふるまってることを、
絶えず受け身一方のBさんは、Aさんが勝手に親友だと思っているだけで、
自分は違うと不満をもっている、というような場合をよく聞きます。
もし、あなたがその方と親しければ、「どうして相談してくれなかったの」とか
「つらかったのね」「心配したわ」等々、若干は踏み込めるのではないかしら。
そんなことをとてもじゃないが、訊けないとおっしゃるなら、「親友」関係ではないのでしょうか。
もちろん命を絶とうとする深刻・微妙なことがそうやすやすと話しあえるとは思いませんが、
いちど関係を問い直してはいかがでしょうか。
彼女が自殺未遂をまったくなかったことのように、ふるまっておられるなら、
そしてそれ以上深められないなら、そのレベルでお付き合いするしかないでしょうね。
あなたの「取りこし苦労」的な性向は、別の問題かも。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。