2010.11.12 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.今年はモダンガール論の当たり年です。2月には東アジアの植民地的近代という文脈からモダンガール像をとらえた『モダンガールと植民地的近代――東アジアにおける帝国・資本・ジェンダー』(伊藤るり/坂本ひろ子/タニ・E・バーロウ編)が、7月にはスペインのモダンガールを、とくに断髪を切り口に論じた磯山久美子さんの『断髪する女たち――1920年代のスペイン社会とモダンガール』が出版されました。そして『髪を切ってベルリンを駆ける!』はその末席を汚すものです。
本書ではみなさんを1920年代、30年代のおもにベルリンを舞台とした、「モダンガール」世代の作家たちが描いた「モダンガール」の世界へとお誘いします。髪を切り、短いスカートで町を颯爽と行く若い女性たちは、オフィスやデパートで働き、映画やスポーツを楽しみます。タイプライターの普及し女性タイピストが増えると、マスメディアの隆盛とあいまって、多くの女性たちがみずから表現しはじめます。
地方出身の若い女性はどんなふうに大都会ベルリンを体験したのでしょうか。当時のOLたちが経験していた仕事の世界、職場でのセクシャルハラスメントの問題、恋愛ってどうだったの。マスメディアの繁栄とそこ登場したモダンガールのタイプ、女どうしの関係、モダンガールの限界などなど、女性作家たちの作品から再現を試みました。もう80年近く前の話なのに、今読んでも結構リアリティがあるのではないかと思います。ベルリンのモダンガールの世界へようこそ!(著者、田丸理砂)
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