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相談9:回答 養父知美弁護士

2012.06.12 Tue

「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」とされており(民法739条1項)、婚姻届が出されなければ、あるいは、離婚届けが出されていれば、法律上は夫婦とはみなされません。事実婚(内縁)とは、婚姻の意思をもって、実質上の夫婦共同生活を営みながら、婚姻の届出がない場合をいいます。つまり、夫婦としての実態はあるが、婚姻届だけが欠けている場合です。
事実婚(内縁)が成立している場合、法律婚に準じて、法律婚の効力である①同居・協力・扶助義務(民法752条)、②貞操を守る義務、③共同生活のための生活費の分担(同760条)、④日常家事に関する債務の連帯責任(同761条)、⑤帰属不明の財産の共有推定(同762条2項)、⑥離婚(事実婚解消)の際の財産分与請求権(同768条)が認められています。一方で、事実婚の場合、⑦夫婦同姓(同750条)、⑧姻族関係の発生・終了(同728条)、⑨子の嫡出推定(同772条)、⑩配偶者としての相続権(同890条)などは、認められていません。
あなたの場合、離婚届が出されているようなので、離婚が成立しており、法律上は夫婦とみなされません。事実婚(内縁)としての効力が認められるかについても、微妙です。メルクマールは、あなた、のみならず、夫が、離婚届提出後も、「婚姻の意思」つまり、夫婦としての生活共同体を継続する意思を持っていたか、そして、夫婦としての共同生活の実態が続いていたと言えるかです。事実婚(内縁)と言えるには、その両方が必要です。
離婚届を提出するに当たって、夫婦間で、どのような話合いをされていたのでしょう。事実婚(内縁)の判断にあたっては、同居の有無が重視されます。「一緒に暮らしている実態はあまりない」とのことですが、どのような生活だったのでしょう。離婚届出前後で、変化はあったのでしょうか。双方の親族や友人たちに、離婚届出の事実は伝えていたのでしょうか。「実質は夫婦」と受け止められていたのでしょうか。近所の人はどうでしょうか。
事実婚(内縁)が認められれば、前述のとおり、同居・協力・扶助義務が認められ、生活費の分担を求めることができます。
もっとも、事実婚については、法律婚と異なり、一方的意思表示によっても解消するとされています。「生活費の振込みをやめる」との連絡が、事実婚解消の意思を伝えるものであるなら、これによって、事実婚自体が解消されてしまい、「子どもが社会人となって」養育費の支払いの必要がなくなっている現在、生活費の分担を求めることはできなくなります。一方で、離婚の場合に準じて、財産分与請求が可能であり、事実婚の不当破棄と言えるような場合、慰謝料請求等が可能となります。
前述の①~⑩は、夫婦間の権利でありますが、義務でもあり、法律で夫婦を縛るものです。法律は、一定の条件を充たす男女のカップルのみに、婚姻の効力を認めます。これに対して、通い婚、週末婚、同性婚、その他もろもろ、カップルのあり方は様々です。法律の枠にハマらないカップルは、自分たちの関係を、自分たちでキチンと取り決めておくべきでしょう。「事実婚契約書」のようなものを交わしておくと、言った言わないの争いを避けることができるし、「公正証書」にしておくと、強制執行も可能になります。
あなたの場合も、離婚届を提出するにあたって、「新たな協議が整うまで、生活費として、毎月○万円を支払う」というような取決め(契約)が成立していたなら、その契約に基づいて請求できるでしょう。「契約書」がなくても、取決めが成立していたことが証明できれば可能です。
いずれにしても、夫とよく話し合って見て下さい。長年夫婦として、子の両親として、協力し合ってきた間柄であり、これからも助け合って行けるように。

カテゴリー:回答 / 養父知美弁護士

タグ:くらし・生活 / 同性婚 / no9 / 法律相談 / 法律婚 / 事実婚 / 養父知美 / 公正証書 / 戸籍法 / 夫婦同姓 / 婚姻届 / 離婚届 / 相続権 / 婚姻の意思 / 同居の有無 / 同居・協力・扶助義務 / 生活費の分担 / 事実婚解消 / 財産分与請求 / 事実婚の不当破棄 / 慰謝料請求 / 婚姻の効力 / 通い婚 / 週末婚 / 事実婚契約書