2月18日にノーマ・マコービー(Norma McCorvey)さんが亡くなりました。

東京新聞が共同の記事 として「1973年の米連邦最高裁判決で、人工妊娠中絶合法化に道を開いた女性活動家、ノーマ・マコービーさん」が亡くなったことを報じています。

ニューヨーク・タイムズが速報でだした記事Norma McCorvey, ‘Roe’ in Roe v. Wade, Is Dead at 69ではマコービーさんは晩年に考えを変え中絶反対派になったとも伝えていますが、1973年に最高裁までたたかって勝った「ロウ対ウェード」訴訟で中絶の合法化を求めた匿名の原告ジェーン・ロウとはマコービーさんのことでした。

2月16日付でアップしたマスコミが騒がないニュースの記事にレスリー・ゴアの歌(You Don't Own Me)を女性たちが合唱する動画が貼りつけられていて、その中に次のようなメッセージが流れてきます。


YOUR VOTE MATTERS
あなたの投票が重要です
ESPECIALLY WHEN
とくに
SOME PEOPLE
だれかが
PLAN TO OVERTURN ROE V. WADE
ロウ対ウェイド判決をくつがえそうと企てているようなときには

アメリカではロウ対ウェイド判決において妊娠初期の中絶が合法になりました。
(1970年代のアメリカ合衆国における女の健康運動については荻野美穂さんの『女のからだ フェミニズム以後』(第1章)に詳しく書かれています。)

上記の歌の動画の中のメッセージはこのあと「だれかがプランド・ペアレントフッドの予算をカットしようとしているときやオバマケアを廃止しようとしているようなときには」と続きます。

プランド・ペアレントフッドとは?
計画的に就く親業を支援する団体。1922年に来日したこともある産児制限運動で有名な活動家マーガレット・サンガーらが創立したNGO団体です。

ミズ・マガジンよりプランド・ペアレントフッド関連の最近の記事を一部ご紹介します。

I don't know what would have happened to me had I not gone into Planned Parenthood that day. I'm grateful I never got the chance to find out.

「あの日わたしがプランド・ペアレントフッドに行かなかったらどうなっていたかわかりません。」

「プランド・ペアレントフッドのクリニックの周りで抗議する人たちの予測に反して、わたしは中絶するためにこのクリニックに行ったのではありません。」

ライターであり写真家でもあるダニエルは自分の体験をこのように書いています。その日、彼女はクリニックの女性のための定期健診をうけてヴァギナに皮膚がんがあると言われました。早期発見のおかげで紹介状を書いてもらい外科手術でがんを切除してもらうことができたのです。

彼女がこんないやな体験をしたことは書くのも語るのも嫌なことでしたが重要なことだと考えています。

なぜならプランド・ペアレントフッドの行っている活動のうち中絶は全体の3%で、残りの97%は経済的に恵まれていない人々も受けられる性教育や性病検査など女性がリプロダクティブ・ヘルスを主体的に管理できるようにするサービスだからです。

なにより、トランプ政権がプランド・ペアレントフッドへの予算を打ち切ろうとしているから、プランド・ペアレントフッドが提供する女性がどのような経済状況にあっても等しく受けられるはずのサービスがなくなるかもしれないから、 なのです。

写真はSarah Mirk (Creative Commons)より

女のからだ――フェミニズム以後 (岩波新書)

著者:荻野 美穂

岩波書店( 2014-03-21 )