こころ
相談 56:「私にばかり育児や介護の負担がかかってくる今、色々なものに失望しています」
2016.01.25 Mon
2歳と3歳の母親で、4年の育休から復帰して数ヶ月たちます。夫は転勤のサイクルの激しい転勤族で、現在は遠方で単身赴任中です。
私の方は、生まれ育った地元に職場があり、長く育休をとることで家族一緒の生活をしてきました。転勤先の知らない土地で幼い子ども二人の育児は考えていたより半端なく大変で、実家の両親に同居させてもらって、仕事に復帰しました。
両親には、以前から私に将来面倒を見て欲しいと言われていました。しかし、家督は全て長男の弟に継がせるとも宣言されています。父親が財布を握っていて、母親は美容室に行くお金をもらうにも小言を言われながら生活していました。母親は国民年金も入れてもらっていません。私も親の庇護下にいたときは、毎日のようにバカにされ、行きたい学校には行かせてもらえず、そんな私を見ても笑っていた両親でした。
将来、介護が必要なときのお金は用意してあるのかと聞けば、老後を暮らす分はあっても、介護が必要な頃にはないと思うと言われます。逆に、心配するな、心配するお前が悪い、と怒られます。仕方がないので、多少は話ができる母親に相談して口座を作ってもらい、生活費を振り込んで、それを将来介護が必要になったら使わせてもらう話にしました。弟はまだ20代で未婚で実家にも寄り付かないし、妹は遠方に嫁いでしまいました。
さらに夫の両親には、仕事をやめて自分達の介護をして欲しいと言われています。どうしても二人の子どもが欲しいと言っていた夫は、この話をすると、自分には何もできないからと黙りこみます。育休中、4年のブランクに育児の負担でボロボロになる私の隣で、夫はピカピカに昇進していました。
こんな文句ばかりで子どもを第一に考えられない自分にも失望しています。確かに私も納得して子どもを生みました。読みが甘いと言われればそのとおりです。それでも、私にばかり育児や介護の負担がかかってくる今、色々なものに失望しています。
もみじ(水戸市,40歳,女性,団体職員)
回答
回答 56:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)
もみじ様、
率直に言って、私にわかったのは、あなたが実家や夫の家族やご自分の育児等での負担感に悩んでおいでだということでした。時間の経過や彼らとのやりとり(誰と何時、何を話し合ったか等)がうまくつかめません。だから、けっこうトンチンカンな短い反応になるのですが、ごめんなさいね。
まず、親の介護の件は、まだ早いのでは。実際に今必要になっていますか?介護制度(誰もが結構な保険料を払わされているのですよ)は、家族が介護をやれないからできたのであって、これを最大に利用しようと思っていてください。
端的に言えば、ちょっとさまざまな負担をしなければと思いすぎのような気もします。
一人での育児は確かに大変ですが、夫にはいささかの覚悟を持って多少の負担を要求なさって。育児にかかわることは、男性にとってもいいことなのです。仕事ばかりの生活は、一般的に人の成長や発達過程の問題等、よく知らないままということになりがちです。それでも社会的役割があればやっていける日本文化がおかしいと私は思いますね。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。