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こころ

相談 58:就職のことで母に反発してしまいます

2016.07.30 Sat

シングルマザーの母と二人家族で、母は介護の仕事をしています。短大の2年生で、労働法のゼミにいます。労働法を学んで「母は、ほんとうに大変な仕事をして、わたしを育ててくれているんだ!」と思うようになりました。

いま、就職活動中で、母は「ぜったいに公務員になるのよ」とわたしに強く言います。公務員の仕事は、わたしがしたい仕事のなかのひとつですが、母が「公務員しかだめ!」「ぜったい公務員」「企業よりも公務員」と言うたびに、なんだか反発したくなってしまいます。

就職活動はしなければならないのですが、こんな毎日で、だんだんやる気がなくなってきています。なんとかやる気をもてるようにしたいので、思い切って母に対して、自分の気持ちを伝えたいと思うようになりました。

どのように伝えれば、母もわたしも傷つかずにすむのでしょうか。
(和歌山/20歳/女性/梅)

回答

回答 58:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

梅さま
なかなか大変そうな環境(?)の中で、頑張っていらっしゃるようですね。私自身、公務員の試験について無知なのですが、いろいろレベルがあるのではないですか?国家公務員や地方公務員とか。また国家公務員一般職試験にも大卒と高卒とかあるようですし。あなたはどのレベルのどのような領域を受験されたいのですか?それは、お母さんと話し合いましたか?

苦労されたお母さんは、漠然と公務員だと将来が安定だと思われているのかもしれませんね。

母親は息子より娘のほうが、よくわかっていると思い込み、自分の分身のように扱いがちです。つまり、娘といっても、自分とは違った別の個性だと見ていないのですね。だから別の個性人として命令しているようでも、そこまで分離できていないのでしょう。換言すれば、あなたが母の命令にどう思っているか、まったく気にしていません。ただ、このまま母-娘分離ができなければ、後々困ることが起きるかもしれないので、おっしゃるように話し合ってください。いきなり母に反対するのではなく、どうして母は公務員にこだわるのか、試験はなかなか困難(と聞いています)、公務員で何をしたいのか、などなど。話し合うのであって、喧嘩するのではありませんからね。

もう一つ、公務員は政治的に中立とか、市民の税金で成り立っているとかの、民間企業にはないいろいろな拘束がありますね。東京都の元舛添知事があれだけ批判されたのは、都民の税金だからです。会社の社長ならあそこまでは言われないかも…。

ご健闘を祈ります。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。