法律
相談 41:動画サイトに記事を投稿する際のメリット、デメリットについて教えてください
2016.08.18 Thu
この4月から地元の男女共同参画社会の実現を目指す女性団体に所属しました。
その会が、今度シンポジウムを開催することになりました。そこで、そのシンポジウムを以前から私が所属していた別な団体のホームページの動画サイトにアップしてもらい、地方での活動を知ってもらおうと、投稿することを提案しましたが、インターネットで、むやみに拡散することの危険性などを指摘され、今回は却下されました。動画はこれから、地方の女性団体が企画するイベントを、全国に知ってもらえるいい機会だと思うので、会の役員を説得するために動画サイトに投稿する、メリット、デメリット(危険性)があるのか、シンポジストの許可を取ることなどはもちろんのこと、何か法律的なことでこちらがあらかじめやっておくこと、または、その動画サイトを運営する団体にお願い、またはお聞きしておくことがあるのか教えてください。
(四国・50代女性)
回答
回答 41:養父 知美さん(弁護士)
インターネットの発展により、ウェブサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用することによって、個人でも広く情報発信することが容易になりました。インターネットの特徴は、情報を劣化させることなく複写が可能であること、同時に多数に対して発信することが可能なことです。情報の受け手がその複写して発信し、そのまた受け手が発信することにより、情報はあっと言う間に拡散して行きます。そのことが、インターネットでの情報発信のメリットでもあり、デメリット(危険性)でもあります。
伝えたい情報を瞬時に多くの人に伝えることができる反面、伝えたくない情報や秘密まで、いったんインターネット上の流出してしまうと、不特定多数の人に知られてしまいます。削除しても削除してもコピーが流通し続け、拡散し続ける恐れがあります。誰の手に渡るか予測できず、情報が悪用される危険性も高くなります。企業や公的機関からの個人情報の流出やリベンジポルノなどの例で、お分かりいただけるかと思います。
シンポジウムの動画を動画サイトにアップすることによって、シンポジウムでの講演や討論、質疑の内容を、講師や発言者の表情や肉声、会場の熱気までも、そのまま、シンポに参加できなかった多くの人に伝えることができます。それが、動画サイトへアップすることの最大のメリットです。しかし、反面、その動画を誰が見るかわからず、主催者や講師、フェミニズムに反感や悪意を持つ人が見る可能性があります。参加者の上司や内緒にしている家族などが見ることもありえます。
ですから、動画サイトにアップするのであれば、そのことを充分認識し、撮影に当たっては、主催者や講師はもとより参加者全員に対し、動画撮影を行うこと、動画を動画サイトにアップする予定であることを説明し、同意を得られた人、場面のみを撮影するようにする必要があります。くれぐれも、撮影されたくない人の写り込み、音声の取り込みのないよう細心の注意が必要です。勝手に撮影したり、その動画をアップしてしまうと、著作権、肖像権、プライバシー権等の侵害となります。主催者や講師、パネリストなどからは、できれば書面で、撮影及びサイトへのアップについての同意を得ておいた方がよいと思います。
また、動画をどのサイトにアップするかも、慎重に考えられた方がよいと思います。サイトのポリシー、サイトにアップされている他の動画や記事、サイトで交わされている意見や論調、アクセス状況などを確認し、その動画を見て欲しい層の人が多くアクセスしそうなサイトを選んでください。サイトには通常、「管理者」が置かれ、動画等のコンテンツのアップや削除についてのルールが定められていると思いますので、事前に問合せてください。 以上
回答者プロフィール
養父知美
とも法律事務所は、知をもって(法律の専門家としての知識をもって)、友として(あなた自身や家族になりかわることはできないけれど、あなたの力になりたいと願う友人として)、共に(ひとりで頑張らないで、ひとまかせにしないで、一緒に)、問題解決をめざす法律事務所です。