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法律

相談43:「103万円の壁」とは

2016.11.07 Mon

これまでは、週2日でパート勤務(1日:6時間)をしていましたが、
子どもが小学校2年生になり、時間の余裕ができたので、週3~4日間の勤務ができるようになりました。
その話を友人にしたところ、「103万円の壁に気をつけてね」と言われました。
友人に聞くのは、ちょっと恥ずかしかったので、こちらの相談を思い出してメールをしたところです。

「103万円の壁」とは、何をどのように、気をつければよいのでしょうか。
夫はサラリーマンで、わたしは第三号被保険者になっています。

神奈川 N子 38歳

回答

回答43:小島妙子さん(弁護士)

1 「103万円の壁」とは
 パート収入が増えることによって,世帯全体でみると税金や社会保険料負担でさまざまな影響が出てきます。パートの収入は,給与所得として所得税や住民税の対象となります。所得税では年収103万円以下が非課税とされ,住民税では年収100万円以下を非課税とする自治体が多いのです。
また,妻の年収が103万円以下の場合,夫は配偶者控除が受けられ,民間企業の8割ほどが支給している月額約1万6000円程度の配偶者手当が受けられます。妻のパート収入が増えると,夫は配偶者控除が受けられなくなり,配偶者手当も打ち切られることによって,共働き世帯全体としては所得が減少することになります。そこで妻は,パート収入が103万円を超えないようにするために,働く時間を調整することになります。これを「103万円の壁」と呼んでいます。

2 新しい壁-「106万円の壁」
 2016年10月1日から,従業員501人以上の企業で週20時間以上働き,年収106万円以上のパートの人たちも厚生年金保険の加入対象となりました。厚生年金保険に加入すれば年金を受給できるなどのメリットがある一方で,これまで夫の被扶養配偶者として負担を免れていた年金保険料や医療保険料を支払う必要が生じます。新たな出費は毎月約1万2400円以上になり,その分の手取り収入が減ることになります。保険料を支払わないですむように,「106万円の壁」ができて,勤務時間を減らす人が出てくることでしょう。
もう一つ,新しい「壁」ができることになります。

回答者プロフィール

小島妙子

ジェンダー法学に詳しく著作も多いすぐれた理論家であると同時に、セクハラ・DV、不当解雇、離婚、財産分与等々、幅広く訴訟を扱う頼りになる実務家。事務所にはほか2名の女性弁護士がおり、女性からの相談の受付体制は万全です。

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 女性政策 / 小島妙子