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こころ

相談62:私の子育ては、どこで間違ってしまったのでしょうか。

2017.02.28 Tue

60歳の主婦です。夫はそれなりにエリートの公務員です。定年後も働き口があり、もうしばらく働く予定でおります。子どもは二人おり、息子も娘も小さい時から勉強ができて、都内の有名私立に難なく合格し、二人ともエスカレーターでそのまま有名大学に通い、周囲と比べても抜きん出ている我が子たちに、自分の努力が報われたことを、とても満足していました。

ところが、息子が大学生の時から引きこもりになってしまいました。そして約10年、そりが合わない息子と夫の間で大変な生活を送りました。息子は、夫が毎晩疲れてボロボロになって帰り、家族との交流もない姿を嫌悪していました。息子は、その後だいぶ回復をして社会復帰もしましたが、気分は不安定になりがちで精神科を受診し大量の薬も飲んでいます。有名大学を出ていることから、何とか家庭教師のアルバイトなどをしながら、今はアパートで独り暮らしをしています。

娘は大学時代の友人と結婚し、子どももでき、十分恵まれた生活を送っています。地方都市へ引っ越し、様子を聞くと幸せに暮らしているようです。

息子と娘、分け隔てなく育てたはずが、息子だけどうしてこうなったのか。私の子育ては、どこで間違ってしまったのでしょうか。夫との間に会話もなく、虚しい毎日をどういう心持ちで生きていけばいいのかご教示いただけたら幸いに思います。よろしくお願いいたします。(東京、60歳、主婦)

回答

回答62:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

私ね、率直に申して、結果はこうなっちゃうんだよねえ、と思いましたよ。あなたのお尋ね文面で、気になった言葉(というか生活意識というか価値観というか)があって、それらは「エリート」とか「有名」などです。私たちは「エリート」や「有名」や「安定」が好きで、人生の出だしにおいて、これらの言葉に乗っかって動けば、OKだと思っていますよね。もちろんそれで破天荒な何事も起きずOKな人生もあるでしょう。

ただ長い人生(ますます長くなりつつある昨今)、予測できないことが起きます。ここのところの多様な自然災害を考えてもそうでしょう?うちは災害に襲われたわけではない、とおっしゃっらないでくださいね。予測しないことが起きたという部分では、息子さんの引きこもりも同じことですよね。言うまでもなく、予測できないことは予測できません。その時に考えるしかないのですが、必ずしも「エリート」や「有名」や「安定」が答えを出してくれるわけではないということが申し上げたいことです。

どうすればいいいか、答えは息子さんの父への嫌悪にあるのではないでしょうか。仕事中心の父親と、子供たちが内心本当に幸せかを考えるより(その側面をみようとするより)、勉強ができ、有名大学にはいったという表面的出来事だけを考えていた母。家族団らんも少なかったのではないでしょうか。あなたが夫との会話もないという現実も、しかるべき結果かもしれません。

私からみれば、人間何をして幸せが得られるかを知っている息子さんが、よりまっとうに人生を考えているように見えます。とすれば息子さんより、「あなた」ではないでしょうか。

あなたは何をどうしたかったのか、あなた自身の幸せは、夫や子供のエリート的人生に同一化されていなかったか、じっくり考えてみてください。もし、自分には何も考えていたことがないと気付かれたなら、どこか(フェミニストカウンセリングが望ましい)で、カウンセリングを受けられるのもいいかな、と思います。カウンセリングを受けるほど「病気」じゃないと思われますか。いえいえ、そうではなく、自分を考え自分を整理するために、カウンセリングはよい方法です。WANに紹介がのっています。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。

タグ:フェミニストカウンセリング