健康
相談20:育児休業から、間もなく職場復帰するのですが
2017.12.27 Wed
1歳の子どもをもつ母です。育児休業から、まもなく職場復帰をします。
これまで、我が子は、なんとか健康に育ってきましたが、育休明けには、保育園にも預けることもあり、病気をもらってくるのではないかと、そして、仕事もあるので、病児保育に預けることもあるのではないかと思っています。
公的機関が設置している病児保育に預けるとき、何か気をつけることがあれば、ぜひ、教えていただけばと思います。
(30代、会社員)
回答
回答20:内田宏美さん(医学部看護学科教授)
病児保育とは、保育所などに通っている子供が病気になった時などに、親の代わりに一時的に子供の世話や保育をする制度で、保育士だけでなく、看護師、栄養士、医師による手厚い保育と看護が受けられます。施設のタイプとしては、通常の保育園に併設されている「保育園併設型」、医療機関内に病児保育をする施設を併設する「医療機関併設型」、病児保育だけを単独で行う「単独型」、及び、これらの複合型があり、設置主体は自治体や民間など様々です。病児保育のタイプには、『病児・病後児対応型』『体調不良時対応型』『訪問型』があり、看護師・保育士の配置や施設基準の規定に基づいて運営されています。国の補助を受けている病児保育施設数は、年々増加傾向にありますが、地域による差もあり、需要に供給が間に合っていない現状にあると思われます。
この背景には、病児保育の利用者数は一定ではないにもかかわらず、利用定員数に応じたスタッフを常時雇用する必要があることから、国の助成金だけで運営することには限界があるという事情もあります。一方、病児保育を利用するためには、必ず医師の診察を受ける必要があります。“微熱だから普通の風邪だろう”と素人判断しても受け入れてもらえません。感染症ではないことを証明してもらうために、先ずは受診しなければなりません。小児科を受診して、それから病児保育所の手配をして・・・などしているうち、どんどん時間が過ぎていくので、どちらかの親は完全に遅刻ですね。どっちみち職場に迷惑をかけることになるのだから、いっそのこと仕事を休もうという流れになって、利用が伸びないのかもしれません。
病児保育は、働く親にとって、あると助かる制度ではありますが、制度の矛盾や、利用のし難さなど、まだまだ課題の多い制度といえます。まずは、ご自身のお住まいの地域では、どのような病児保育が行われているのかの情報を収集し、ご自身のライフスタイルに合った利用の仕方を考えて、育休明けに備えておかれることをお勧めします。
回答者プロフィール
内田 宏美
1976年京都大学医学部附属看護学校卒業。手術室、循環器内科、放射線科、消化器外科など、大学病院で臨床経験を積んだ後、医療技術短期大学部専任教員となる。2000年の京大病院エタノール事故の後、初代の総括リスクマネージャーとして医療安全システムの整備に携わる。その後、鳥取大学保健学科を経て、2005年より現職。専門は看護管理、医療安全、医療倫理など。