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法律

相談59:一人暮らしの妹が事故で突然亡くなり

2018.09.15 Sat

 一人暮らしの妹が事故で突然亡くなり、姉のわたしが彼女の家の整理をしておりましたところ、彼女が、10年ほど前から仕事上の先輩にお金を貸していたことが分かりました。かなりの高額(不定期に貸しており、全体で500万円ほど)ですが、きちんとした借用書は見つかっておりません。妹の通帳へのメモ書きと、先輩に督促するメールの文章が残っていたので判明したものです。

 こうした場合、親族である姉のわたしが、妹の代理で督促ができるのでしょうか。あるいは本人以外で督促できる権利を有するのは誰でしょうか。また、どのくらい前のものまで請求できるのでしょうか。

 そして、相手に返済を求めるとしたら、まずはどのようにその手続きを進めたらよいのでしょうか。先輩の仕事先と名前・連絡先(電話・メール)は分かっておりますが、彼女と妹との関係など、それ以上のことはわたしには分からない状況です。わたしは、妹が督促をしていたと分かった以上、全額返してもらいたいと思っていますが、相手に借金の確認をしたとしても、「身に覚えがない」と逃げられるのではないかと思うと不安で、まだなにもできずにいます。(50代、愛知県)

回答

回答59:小島 妙子さん(弁護士)

 妹さんが亡くなると,遺産(貸金債権などのすべての財産)は,相続人によって相続されます。夫婦の一方が死亡したとき,他方は常に相続人となり,これと並んで,①子,子がないときは→②親,祖父母,これもいないときは→③兄弟姉妹が相続人となります。音信不通であっても,夫や子がいれば,あなたは相続人となることができません。両親のいずれが生きていれば,残された親が相続人となります。
 亡くなった方の財産はすべて相続人に引き継がれますので,相続人以外の者が妹さんの代理をして貸付金の督促をすることはできません。
 貸付返還請求権は10年で時効消滅します。
 問題は,金500万円を貸し付けていた事実を証明できるかどうかです。借用書がなくても,通帳へのメモ書きや督促のメール,それに対する相手の返信の内容や返済の状況などの間接的な事実・証拠から,お金を貸していたことが証明できれば,貸付金の返還を求めることができますが,妹さんが亡くなっており,相手が争ってくる可能性もあります。
 そこで,あなたが相続人である場合には,弁護士に相談し,貸付の事実が証明できそうであれば,あなたの代理人として,貸付金の督促をしてもらったらいかがでしょうか。

回答者プロフィール

小島妙子

ジェンダー法学に詳しく著作も多いすぐれた理論家であると同時に、セクハラ・DV、不当解雇、離婚、財産分与等々、幅広く訴訟を扱う頼りになる実務家。事務所にはほか2名の女性弁護士がおり、女性からの相談の受付体制は万全です。

タグ:DV・性暴力・ハラスメント / 非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 女性政策 / DV / 小島妙子